無料の季節
水道水を飲む 無料では無い
定食を食う 無料では無い
朝起きる家 無料では無い
夜眠る家 無料では無い
移動する乗り物 やはり無料ではない
今夜飲む酒 そらあ無料では無いし
携帯電話 勿論無料では無いよ
手に持っている週刊誌も 当然無料では無いだろ
そうか 何もかも無料では無いのか
教会の鐘が鳴る
ツバメが巣から飛び去り
南の島へ旅立った
木になった柿をひと房もいで
食べる私は裸足で駆けてゆく
この空も この空気も
照らす太陽と 脇腹を過ぎる風
土を蹴る足 私自身の体
これらは全部無料だ
曲のない詩には自分で曲をつければいいのだ
雲は形を変えて
生まれてはまた死んでゆくのだから
さようなら この歌に捧ぐ
湯船につかりながら歌われた 全ての鼻歌に捧ぐ
(2020/06/13)
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