伝説の元レンタル店員が語る!日本アカデミー賞に見るオリジナル作品の数々
こんにちは!上司Kです。
昨年は9月にTCP作品(『先生、私の隣に座っていただけませんか?』『マイ・ダディ』が公開されました。TCP運営事務局として、この9月がド・ピークだったのですが、今は少し落ち着いています。お陰さまで、映画を観ていただいたお客様からの評価は上々で、ざっくり言うと「ストーリーが面白い」「今まで観たことがないような発想が新鮮」というような感想を多数いただいています。
そうなんです!それが、TCP受賞作品の特色なんです。
なぜならば、TCP作品のスタートは応募者の企画書です。その人の頭の中のアイディアや発想を自ら企画化してプレゼンしたオリジナル企画です。そして、前段の『先生、私の隣に座っていただけませんか?』は堀江貴大監督、『マイ・ダディ』は金井純一監督と、受賞者本人が監督・脚本を務められて映画化されました。
原作ありの映画化を否定や批評する気は全くありません。TCPも応募要項としては原作ありの企画でも応募可です。(ただし、原作者から映像化許諾を得ている、その予定がある等状況を確認します。)今まで、結果として、オリジナル企画の募集のほうが圧倒的に多かったです。また、オリジナル企画映画を、お客様に知ってもらう、お届けする、観てもらうまで十分な苦労がかかることも知っていますが…。
そこで、日本映画の祭典の最高峰である日本アカデミー賞において、最優秀作品賞を受賞された作品についてオリジナル企画はどのくらいあるんだろう?と思い立ちちょっと調べてみました。
まず、日本アカデミー賞なんですが、第1回目は1977年(昭和52年)に開催され、栄えある、第1回最優秀作品賞は『幸福の黄色いハンカチ』(山田洋次監督)でした。
あのビールを飲み干す高倉健さんのシーンが印象深いですね。私も3日ほど禁酒したら、あんな顔ができるかもしれない。…話が脱線しました。
『幸福の黄色いハンカチ』はオリジナル企画だったのかどうかを調べてみると、ピート・ハミル著 による『ニューヨーク・スケッチブック』(高見浩訳、河出書房新社)に所収された「黄色いリボン」が原案のようです。このように、忠実な映像化でないとしても、元ネタとしてインスパイアされたり、原案からストーリーを膨らました映画も多数あり、境界線が曖昧な経緯の作品があるので、今から記載する作品の原作について正確ではない場合もございますが、その場合は是非ご指摘ください。
さて、昨年までに計44回の開催の迎えた日本アカデミー賞ですが、そのうちオリジナル企画(監督自ら原作者含む)と思われるものは16作品ありました。
約4割の作品がオリジナル企画ということですね。(意外)
※数字は受賞年。()は監督名 敬称略
1981『駅 SATAION』(降旗康男)
1984『お葬式』(伊丹十三)
1985『花いちもんめ。』(伊藤俊也)
1987『マルサの女』(伊丹十三)
1992『シコふんじゃった。』(周防正行)
1994『忠臣蔵外伝 四谷怪談』(深作欣二)
1995『午後の遺言状』(新藤兼人)
1996『Shall we ダンス?』 (周防正行)
1997『もののけ姫』(宮崎駿)
2001『千と千尋の神隠し』(宮崎駿)
2006『フラガール』(李相日)
2008『おくりびと』(滝田洋二郎)
2016『シン・ゴジラ』(庵野秀明)
2017『三度目の殺人』(是枝裕和)
2018『万引き家族』(是枝裕和)
2020『ミッドナイトスワン』(内田英治)
当たり前ですが、心に突き刺さる、印象深く魅力的な作品ばかりですね。社歴だけは長い元ショップ店員の私は、作品のDVD(ビデオ)パッケージデザイン(表1)がパっと頭に浮かぶので全部観ていたつもりでしたが、改めて大学生の頃からつけている鑑賞記録と照らし合したところ、未見が16作品のうち4作品もありました。この仕事を生業にしている以上、これはまずいですね。すぐに観るようにします!
これからの人生の楽しみが増えました。…また少し話が脱線しました。
受賞作品の傾向はいわゆる「時代の寵児」となった監督さんたちの作家性に引っ張られているかと思います。オリジナル企画で勝負する監督の台頭が今までの歴史の中で何度かあったようです。例えば、80年代の伊丹十三監督、90年代の周防正行監督、宮崎駿監督のアニメーション、是枝裕和監督、そして昨年受賞の内田英治監督の『ミッドナイトスワン』…
こう考えると、今、まさにオリジナルの第5次くらいの波がきているような気がします。もちろん、観る側は「面白ければ何でもいい」かもですが、クリエイターにとって、今はとてもよいタイミングです!
まだお伝えできない情報もありますが、TCP作品が次々と制作が進んでますので、これからもどんどん世の中へ出てきます。
なぜTCP受賞者は、この企画を映像化したいと思ったのか?そんな視点で鑑賞してもらっても面白いかなと思います。これからも、TCP作品どうぞよろしくお願いいたします。よろしく哀愁(郷ひろみ)です。