人はみな生まれたときに口の中に斧を生じる(『スッタ二パータ』657 偈)
私たちは言葉を使用し、コミュニュケーションを取りながら、日々、生活しています。ある時は自分の意思を伝えたり、ある時は相手の想いを聞き受けたり。
誰かに掛けられた何気ない一言に心安らぐこともあれば、反対に何気ない一言に傷つけられ、どうしようもなく落ち込むことだってあります。言葉にはそんな大きな力があるのです。そう考えると、私たちが普段用いている言葉一つとっても、気を付けて使わないと誰かを傷付け、そして自分自身をも傷付けてしまうことになりかねません。
「言葉が乱れているのは、心が乱れている証拠です」と、以前、あるお方から教えていただきました。言葉は私の心から紡がれるものです。今を生きる私たちは、日々、どんな言葉を紡いで生きているでしょうか。
言葉の表面を整えるだけではなく、真心を込めた言葉を少しでも紡ぎながら生きていきたい。釈尊のお言葉は、どのような言葉を使って生きていけばよいのか、その大切さを私たちに教えてくださっています。言葉の大切さに気付くことで、少しでもつつしむ心、つつしむ言葉を心がけたいと思います。
(本願寺新報2022年7月1日掲載)