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東北コットンから生まれた、持続可能な紙の物語

東北コットンとは、2011年の東日本大震災で津波被害を受けた東北で、新たな産業として生まれた綿花栽培のプロジェクトから生まれた綿製品のこと。震災による塩害や農地の復興、雇用創出という課題解消とともに、環境に優しい循環型社会を目指すこのプロジェクトは、地域の未来のあるべき姿を指し示しています。
この記事では、2031年に創業100年を迎える東京新富町の紙製品メーカー・山櫻が、東北コットンプロジェクトの取り組みと、このプロジェクトから生まれた東北コットンCoCという紙製品について解説します。


東北コットンCoCに含まれるFSC®認証紙とは?

東北コットンのご紹介をする前に、まずは、東北コットンから作られた紙製品に含まれているFSC®認証紙について解説します。

適切に管理された森林から生まれた紙

FSC®認証紙とは、適切に管理された森林から得られた木材を使用して作られた紙のことです。FSC®認証紙にはFSC®マークが付与されており、このマークは「森林資源の保護を目的にした紙」であることを表しています。FSC®認証は、国際的な非営利団体であるFSC(Forest Stewardship Council:森林管理協議会)によって設立されました。違法な森林伐採を防ぎ、持続可能な森林管理を促進する団体です。

森林破壊の抑制につながる

FSC®認証を受けた森林は、環境保全、社会的な利益、経済的な発展のバランスが取れた方法で管理されていることが保証されています。FSC®認証紙は、森林破壊を防ぎ、持続可能な森林管理をうながします。言い換えると、消費者がFSC®認証紙製品を使うことは、適切な森林管理を間接的に支援することになるのです。

原料はバージンパルプ。再生紙より高品質

FSC®認証紙と再生紙はどちらも環境に配慮した紙ですが、その違いは原料にあります。FSC®認証紙は、管理された森林から伐採されたバージンパルプを原料としています。一方、再生紙は廃棄物の削減を目的としているため、使用済み古紙を原料としています。再生紙は環境負荷を減らす効果が高い一方で、リサイクルを繰り返すため、FSC認証紙よりも品質が劣る傾向があります。どちらの紙も一長一短であるため、用途に応じて使い分けることが大切です。 たとえば、企業は、環境への配慮を示すために、名刺やパンフレットにFSC認証紙を使用することが増えています。 一方、再生紙は、コピー用紙やノートなど、品質よりも価格が重視される用途に適しています。

FSC®認証紙について、より詳しくは、こちらをご覧ください。

東北コットンプロジェクトとは?

ここからは、FSC®認証紙と東北コットンプロジェクトの関係についてご紹介します。

塩害を受けた農地の再生プロジェクト

東北コットンプロジェクトは、2011年の東日本大震災で津波被害を受けた東北地方の農地で、稲作に代わる新たな産業として立ち上がりました。震災で発生した津波は、東北地方の広大な農地に塩害をもたらしました。稲作は塩分に弱いため、これまでのような稲作が困難になったのです。そこでこのプロジェクトを立ち上げ、農地の再生と雇用創出を目指すことになったのです。

持続可能な循環型社会の実現

東北コットンプロジェクトは、綿花の栽培から紡績、製品化、販売までを一貫して行うことで、持続可能な循環型社会の実現を目指しています。 多くのアパレル企業や紙製品メーカーが、東北コットンプロジェクトに賛同し、綿花を使った製品の製造・販売を通じて復興を支援しています。たとえば、紙製品メーカーの株式会社山櫻は、東北コットンを使用した紙製品を販売し、その売上の一部をWWFジャパンに寄付しています。東北コットンプロジェクトは、被災地の復興と新たな産業創出、そして持続可能な社会の実現に向けて、多くの人々の思いと努力によって支えられているのです。

東北コットンCoCの特徴

東北コットンCoCは、東北コットンプロジェクトから生まれた紙製品です。東北コットンCoCを使用することは、綿花栽培を通じて雇用を生み出し、地域経済の活性化に貢献する東北コットンプロジェクトを支援することにつながります。東北コットンCoCには、次のような特徴があります。

原料へのこだわり:綿の茎の繊維を有効活用

東北コットンCoCは、東北コットンプロジェクトで栽培された綿花の茎から採取した繊維を原料に使用しています。 一般的に、綿花は綿毛の部分が衣料品やタオルなどに利用されますが、茎の部分は廃棄されることが少なくありませんでした。東北コットンCoCは、この廃棄されるはずだった茎の部分に注目。廃棄されるはずだった原料を有効活用することで、環境負荷を低減するとともに、独特の風合いを持つ紙を生み出すことに成功しました。

環境への配慮:森林認証パルプとの混合

東北コットンCoCは、綿の茎の繊維に加えて、森林認証パルプも原料に混合しています。森林認証制度は、森林の保全と持続可能な利用を目的とした制度であり、FSC®認証はその代表的なものです。森林認証パルプを使用することで、違法伐採や森林破壊のリスクを低減し、環境保全に貢献することができます。

独特の風合い:茎繊維による味わい深い風合い

東北コットンCoCは、綿の茎の繊維が漉き込まれているため、一枚一枚異なる、味わい深い風合いがあります。 茎繊維の模様がアクセントとなり、温かみのある紙製品に仕上がっています。

多様な用途:名刺、封筒、パンフレット、タグ

東北コットンCoCは、名刺や封筒などのビジネスシーンだけでなく、パンフレット、タグ、ショップカードなど、幅広い用途に使用されています。とくにアパレル企業では、綿製品のタグに東北コットンCoCを使用することで、商品との親和性を高め、ブランドイメージを伝えることができます。東北コットンCoCは、環境への配慮、社会貢献、そして独特の風合いを兼ね備えた魅力的な紙製品と言えるでしょう。

山櫻による東北コットンプロジェクトのリポート動画は、こちらからご覧ください。

「東北コットンプロジェクトの挑戦」まとめ

●東北コットンCoCに含まれるFSC®認証紙とは?
・適切に管理された森林から生まれた紙
・森林破壊の抑制につながる
・原料はバージンパルプ。再生紙より高品質

●東北コットンプロジェクトとは?
・塩害を受けた農地の再生プロジェクト
・持続可能な循環型社会の実現

●東北コットンCoCの特徴とは?
・原料へのこだわり:綿の茎の繊維を有効活用
・環境への配慮:森林認証パルプとの混合
・独特の風合い:茎繊維による味わい深い風合い
・多様な用途:名刺、封筒、パンフレット、タグ

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