元英字記者が共有したい、「英語のお話」 (米大統領選編)
October surprise
米大統領選まであと1か月。終盤戦の10月に、勝敗を左右しかねない出来事(October surprise:10月のサプライズ)が起こるかどうかに注目が集まっています。
中東情勢も緊迫し、米国が紛争に巻き込まれる可能性(US faces the grave possibility of being dragged into a Middle East conflagration*)も排除できません。
さらに、10月2日には、トランプ前大統領が2020年大統領選の結果を覆そうとして起訴された事件で、司法省の特別検察官が裁判所に提出した申立書の内容が公表されました。トランプ前大統領は無罪を主張していますが(has pleaded not guilty)、同氏が「汚い手を使い、前回選挙に勝とうした」(his attempt to steal the last election)、「米国の民主主義に対する実存する脅威」(existential threat to American democracy)などという、民主党の主張が再燃する形になりました。
*1 Conflagration: 大炎上
書き写しの勧め
同記事は、“October surprises are coming at a dizzying pace”(10月のサブライズは、目まぐるしい速度でやって来ている)と、始まります。
私のお勧めは、この短い文章の書き写しです。何回か書き写すと、日本人が苦手な前置詞(at)や冠詞(a)の使い方が身に付きます。
私は、中学校から英語を学びましたが、いまだに前置詞や冠詞の使い方に迷います。また、ネイティブでも、人によって使用方法が違うことにも目の当たりにして来ました。
CNNやBBCでは、記事をサイトに載せる前に二重、三重のチェックをしているはずなので、真似をしても大丈夫かと思います。ぜひ、1日1文でも、10回程度の書き写しをお勧めします。
また、“dizzy”は「めまいがする」「フラフラする」のように、日常会話で使えます。書き写しのほかに音読を繰り返すと、自然と英語が出てくるようになりますよ。
「書き写し」や「音読」をお勧めするのは、私の大学時代の経験に基づいています。英字新聞記者を目指した私は、憧れの米ワシントン大学(University of Washington)のジャーナリズム科に編入。しかし、日本人学生は私1人という状況で、ネイティブなみの英語力が求められていました。
中間試験や期末試験も小論文方式で、教科書や授業で得た知識を使って出題されたテーマについてロジカルに説明しなければなりません。そこで、考えついたのが、教科書の重要な部分を何回か書き写しして、内容を覚えることです。
睡眠時間こそ削りましたが、無事、「cum laude (クム・ラウデ)」の成績で卒業できました。それ以来、書き写しの効果は絶大だと考えており、今でも実践しています。
近代史を紐解く
そもそも、「10月のサプライズ」という用語が広く使われるようになったのは、1980年だそうです。
1979年11月のイラン革命(Iranian Revolution)の最中、テヘランで米大使館が革命派の学生に占拠され、大使館員が人質に取られる事件(Iranian hostage crisis)が起きました。
2期目を目指すジミー・カーター大統領(民主党)は、1980年11月の投票日(Election Day)の直前まで、人質を解放して「10月のサプライズ」を起こそうとしましたが、失敗に終わり、「1期限りの大統領(one-term president)」となりました。この時に、この用語の使用が広がったようです。
それから40年以上経過した昨年、叶わなかった「10月のサプライズ」に新説が登場しています。2023年3月18日付のニューヨーク・タイムズの記事
(https://www.nytimes.com/2023/03/18/us/politics/jimmy-carter-october-surprise-iran-hostages.html)によると、カーター大統領は、「共和党の大統領候補、ロナルド・レーガンの陣営に人質事件の解決を阻止された」可能性があると言うのです。真偽のほどは定かではありませんが、興味深い証言が紹介されていますので、ぜひ閲覧してみてください。
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