【ZINEの解剖】構成・デザインの話
今回は、構成とデザインの話をします。
【構成】交互にしてメリハリつける作戦
まずは構成の話。
40ページ超の本なので、写真並べただけじゃ持たないと思いまして。
それで、メリハリをつけるために
1. 写真・図版メイン⇔読み物あり
2. ポジティブ・緑の写真⇔ネガティブ・枯れた写真
このどちらかが交互になるようにしました。
あとは、イラストメインの旅行中のこぼれ話と4コマ漫画コーナーを1ページずつ入れて、雰囲気を変えつつページ調整もしました。
手描き感を残した絵にして、ゆるく崩してくれる作用を期待しました。
【デザイン】本はサイズ感が変わる
ここからはレイアウト・デザインの話。
スマホで記事を見る時はスクロールして見ていくので、同じ幅のページが続きます。高さはコンテンツによって変わりますけど、見てるスマホの大きさは変わらないので、大体のサイズ感が同じですよね。
でも、本はページによって大きさが変えられるメディアです。
例えばA4サイズの場合、片面1ページだと紙面はA4縦サイズになりますが、見開きで使えばA3横サイズとして使えます。
これで変化をつけられるのが本の強みです。
今回のZINEも、見せどころは見開きを目一杯使うようにしてました。
【デザイン】めくる=仕掛けるチャンス
あと、本の特徴と言ったら「めくる」行為があることですよね。
めくることで直前まで見てたページが消えて完全に切り替わります。
そして、この「めくってページが変わる時」というのは、何かを仕掛けられるチャンスになります。
自分がこのことに気付かされたきっかけがありました。
まず、『暗殺教室』や『逃げ若』の作者の松井優征先生が、『ひらめき教室「弱者」のための仕事論』(2016年、集英社)で言っていた
「偶数ページは宝の山」
「ぺらっとめくった偶数ページで驚かせることができる」(p36)
という言葉。
本の中で挙げている例だと、前のページまでは何てことないシーンだけど、めくったら大蛇に首を巻かれている場面が出てくるとか。
パラパラめくってるだけでも「なんで蛇?何があったの?」って手が止まるし、読み直したくなりますよね。
このような仕掛けを入れることで、多くの作品が載る週刊誌で読者に手を止めてもらえるようにしているそうです。
次に、就活のために受けたポートフォリオ作成講座での話。
内定をもらった先輩の解説にて
「見開きで写真を大きく入れると、ページをめくった時にインパクトが出る」
と言っていて。
実際に見せてもらったポートフォリオも、めくった時に大きく現れる写真が効いていてかっこよかった。
こういった教えから、「めくって仕掛けること」を学び、ページと企画の変わり方はこだわって作るようになりました。
今回のZINEだと、上に載せた「蔦まみれ行脚」の導入ページでめくった時に巨大な蔦まみれ建築がバーンと現れるようにしました。
前のページが「蔦まみれ建築」についての入門向け解説ページで文字も多かったので、写真一枚をぶつけて「さあ始まるよ!」という感じのコントラストをつけたかったんです。
逆に、「都市の静脈」という特集は左側1ページから始まります。
ここでは、ページをめくる=「退廃的な蔦の世界の扉を開ける」という風にしたくて左ページから始めました。
前の企画が緑色の蔦が多めで明るい雰囲気だったので、いきなりダークサイドに飛び込むよりは、一呼吸おいて自分で扉を開けて入った方が良いんじゃないかと思いまして。
あとは写真がメインのページだとサクサクと見がちなので、手を止めるポイントが欲しかったというのもあります。
今回はそんな風にページを使いました。
長くなりましたが、こんな感じで試行錯誤してました。
今回のZINEを楽しむ視点の一つとなれば幸いです。