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DXで持続可能な社会を 新たな保険ビジネスの可能性 三井住友海上火災保険㈱

MS&ADインシュアランスグループの三井住友海上火災保険㈱(東京都 舩曵真一郎社長)が、DX(デジタル・トランスフォーメーション)の活用による新しい事業開発を積極的に進めています。

保険ビジネスは「リスクに備えるサービスを提供する」という性質から、もともとデータ活用との親和性が高いです。AIなどの最新技術を用いることで、顧客のリスクを見える化し、事故予防やリスク低減、適切な保険商品の提案などにつなげることができるといいます。

このインタビューは、かがわ経済レポート2021年6月25日号の取材記事より一部抜粋・再編集してご紹介しています。

AIを活用の専用ドラレコが注意喚起

昨年の人口10万人あたりの交通事故死者数が全国ワースト1位だった香川県は、過去約4万件の人身事故のデータなどをAIに読み込ませ、交通事故の危険度が高い100カ所を示したマップを作成しています。

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そのデータを同社とあいおいニッセイ同和損害保険㈱が契約者に提供している専用ドライブレコーダーに搭載し、ドライバーが危険予測地点を通る時にリアルタイムで注意喚起を行うサービスを、2021年1月から全国に先駆けて運用開始しました。

この取り組みについて「香川県との対話から生まれたプロジェクト」と話す同社高松支店の大矢邦雄支店長は、「コロナ禍で苦しむ地方を元気にしていくことが、我々のような損害保険会社の姿」と述べました。大津登志夫高松支社長は「香川県の死亡事故は全国平均の約3倍弱にのぼり、亡くなる方は高齢者が多い。各ドライバーに注意喚起を促し、一件でも事故を減らせれば」と語ります。

同社は「地域課題解決への輪に加わり、地域発展とともに、事業成長を実現」というテーマを掲げ、県内の各自治体や団体とSDGsに関する連携協定を結んでいます。

また、同社のドラレコ型AI事故状況説明システム「Ai’s(アイズ)」に、相手車両の進行方向やスピードなどの挙動を分析する新機能を2月に追加。事故当事者同士の主張が異なる場合でも、映像記録や正確なデータを使うことで過失交渉が円滑に進むとしています。

代理店ビジネスを高度化

同社は昨年2月、”ヒトとAI”による新技術を用いて、代理店の営業を支援するシステム「MS1 Brain」をリリースしました。

毎年の保険の更新などに向けて、まずはAIが顧客に最適な保険商品を分析し、動画でおすすめの商品を提案します。また、今年2月には顧客と代理店間でメッセージの送受信やWeb面談を行うことができる機能を追加。顧客はその情報を参考にしながら、スマホから代理店とWeb面談を行い、そのまま保険の更新が行えます。

このWeb面談の特徴は、画面操作のリーダー権限が両者ですぐに交代できること。代理店が主導してスムーズに案内したり、顧客が主導してじっくり資料を確認できたりと使い勝手がよく、非対面でありながらも顧客の満足度を高める工夫を凝らしています。Web面談を通じて保険のプランなどが変更となった場合も、変更後のデータがすぐに反映されることも利点。

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MS四国㈱(高松市)種田倫也営業主任。AIが顧客に適切な保険商品を動画でおすすめ。その後、代理店と顧客が面談しながら保険の更新ができるものです。

同社代理店のMS四国㈱(高松市)種田倫也営業主任は、「お互いの表情を見て、お声を掛けながらしっかりコミュニケーションができるところが良い」と話します。利用者からも「目新しさがあるので最初は戸惑うが、使ってみたら簡単でわかりやすい」と評判だといいます。

大矢支店長は「単なる効率化ではなく、魂のこもったDXはビジネスチャンスにもなる」と力を込めます。今後、「顧客本位の業務運営」の強化と「顧客体験価値の向上」の実現へ向け、DXをビジネスの基盤として推進します。 

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