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水流苑まち(つるぞの・まち)
2018年4月13日 11:30
その日わたしは、背中にランドセルの重みを感じながら、家まで続く住宅街を歩いていた。放課後の校庭で、友だちと桜の花びらが降る中、鬼ごっこをしてきた帰りだった。 みんなはまだ学校に残っている。わたしだけ五時の門限に間に合わせるため先に抜けてきたのだ。五年生になったのだから、せめて六時まで延ばしてほしいとお願いしているのに、お母さんもお父さんもなかなか聞き入れてくれない。 三つ下の弟が通う散髪屋の
2018年4月26日 20:18
私が通っていた高校は、私服通学がゆるされていた。 当時、自分が女らしくないということにコンプレックスを感じていた私は、それを解消する手段として、なぜか『ピンク色の服を身にまとう』ことを選択した。
2018年4月26日 18:58
恋人と旅行で訪れた温泉街で、ふらりと和菓子屋に立ち寄った。表の貼り紙に印刷されていた白あん入りの苺大福が気になったのだ。 ガラスの引き戸を開けて中に入る。少し離れた位置に立っていた黒服の男が、いらっしゃいませ、と低い声で挨拶した。遠目だから定かではないけれど、銀縁の眼鏡の奥に覗く目から受ける印象は冷たく、和菓子屋の店番よりもホテルの支配人の方が似合いそうな雰囲気だった。