団塊世代の健康寿命終了が2023年春の統一地方選挙に与える影響 - #ベッドタウンが生き残るためにいま考えるべきこと
このシリーズでは、これからの日本がどんなリスクを抱えているか、ベッドタウンがどうやってサバイブしていけば良いのかを考えています。
前回の記事では地域コミュニティについて、とくに自治会について取り上げました。
これからしばらく、地方の政治について考えてみます。
今回は、選挙と世代についてです。
2023年 統一地方選挙の注目ポイントは世代交代
今年は4年に1度の統一地方選挙の年です。
地方議員を選ぶ、大事な選挙です。
選挙まであと2ヶ月を切りました。
私が注目するポイントは、候補者のジェンダーギャップと世代交代です。
この記事では世代交代について書きます。ジェンダーギャップについては、稿を改めて詳しく書きます。
今回の選挙は極めて重要だと私は考えています。
その理由は、日本はここ数年で激変期の入り口に入ったと考えるからです。
激変の要因はいくつかありますが、短期的に最も影響が大きいのが、団塊世代の健康寿命終了です。
『団塊世代の健康寿命終了』、
このリスクが何をもたらすのかを認識していない候補者を選んではいけません。
「今が時代の激変期の入り口にあるとの認識があるかないか」、これを春の統一地方選挙で投票先を選ぶ重要な指針にすべきだと私は考えています。
団塊世代の健康寿命終了がどんなリスクを抱えているのかについてはこれまでの記事で触れてきましたので、ご興味があればお読みください。
団塊世代の健康寿命終了が2023年春の統一地方選挙に与える影響について、私の考えを書いてみます。
健康寿命終了の影響とは何か
「健康寿命終了」を端的に説明すれば、「平均して要介護認定2以上になる」です。
健康寿命は男性71歳、女性75歳です。
2023年現在、団塊世代の人たちは74歳から76歳です。
団塊世代の男性はすでに、健康寿命を終えています。
団塊世代の女性も昨年から来年にかけて、健康寿命を終えます。
団塊世代とは、1947年から1949年生まれの人たちを指します。この世代は1年間で約270万人も生まれました。昨年の出生数と比較して3.5倍です。それほど多くの人口を抱える世代が75歳、いわゆる「後期高齢者」になります。平均して要介護認定2以上になるタイミングが今なのです。
団塊世代が健康寿命を終えてなんらかの介護が必要になったり病気になれば、社会保障費が爆増します。また、消費行動が不活発になり投票行動にも消極的になります。
数年前から大手メディアは、メインターゲットを団塊世代から団塊ジュニア世代に切り替え始めています。
最近、テレビでよく見るタレントの平均年齢が下がったことに気がついた人は多いでしょう。
数十年続いた長寿番組が終了したり、メインMCが若手に変更されたりしています。
これはコロナ禍の影響で番組スポンサーの広告出稿費が下がったからだけではありません。これまでメインターゲットだった団塊世代が高齢になり、消費活動が不活発になったからです。
高齢者の投票率は本当に高いのか
消費行動の不活発と同じことが投票行動にも起こり始めていると、私は考えています。
高齢者の投票率の高さはよく知られています。
しかし細かく見ていくと、あることに気がつきます。
私が住んでいる、埼玉県鶴ヶ島市を例にします。
前回、2019年の鶴ヶ島市議会議員選挙の年代別投票率を見てみます。
70代をピークに、80代を超えると投票率はガクンと下がります。
なぜでしょうか。
健康寿命を超えると心身の衰えや病気などによって、投票所に行けなくなるのではないかと推察します。
公明党と共産党の党勢変化は何を意味するのか
国政を見ても、旧来の政党を支えてきた団塊世代が投票に消極的になり始めているようです。
昨年夏の参院選の結果を見てみます。
政局によってあまり得票数が左右されないであろう、公明党を参照します。
公明党の支持母体は言うまでもなく創価学会です。2世信者、3世信者も少なくないでしょうが、学会員のボリュームゾーンは団塊世代だと聞いています。
公明党は昨年の参院選で、得票数を減らしました。
2019年参院選 6,536,33票
2022年参院選 6,181,407票
2019年に比べて2022年は約35万票、率にして約5%の減少です。
さらに言えば、2016年参院選の得票数は約757万票でした。たった6年で140万票も得票数が減少しています。
公明党の支持母体である創価学会の学会員にとって、投票はとても重要だと聞いています。よほどの理由がない限りは、投票を棄権しないでしょう。
それなのに公明党は得票数を減らしているのです。
もしかしたら別の事情で、学会員が減少しているのかもしれません。
しかし、団塊世代の学会員が不活発になっている可能性は否定できないでしょう。
ここでは投票行動が政局に左右されにくいであろう公明党を例にとりましたが、他の政党にも同様の影響がでているようです。
共産党も2022年の参院選では2019年に比べて約24万票も得票数を減らしました。もちろん共産党の場合は、他野党との連携体制が変更になった影響を無視できません。しかし共産党もまた、コアな支持層が団塊世代なのです。
今後、長く続いた政治のバランスは維持できなくなります。
自民党と公明党の連立政権はパワーバランスが変わります。このままでは連立解消もありえます。
野党も世代交代に失敗すれば、新興政党にポジションをとって変わられるでしょう。実際、発足から間もない参政党なる政党が勢いを増しているように見えます。参政党の主張を聞けば、排外主義的な印象を受けます。そんな党が若い世代の一部に共感をもって迎えられている現象を、旧来の政党や上の世代は深刻に捉えるべきかもしれません。
これからの選挙に立候補する人や各政党は、もっと若い世代のほうを見ないといけません。公正な社会の観点からだけではなく、政党が生き残るための戦略の観点でも視線の方向を変える必要があるでしょう。
まとめ
私は、シルバー世代をないがしろにするべきだ、などとは露ほどにも思っていません。これまでの日本社会を築き守ってきたのは今のシルバー世代です。
しかし、若者世代や子ども世代への手当てが不十分であることも事実です。世代間のバランスが悪すぎて不公正に感じます。それなのに政治家や政党はあいかわらずシルバー世代ばかり意識しているように見えるのです。
シルバー世代に安心して老後を過ごしていただける政策をできる限り維持するとともに、現役世代がもっと生きやすく、未来世代が希望を抱ける社会にしなければなりません。
私は社会システムはあまり急激に変化させないほうが良いという考えを持っています。その点で、旧来の政党がうまく新時代にアジャストしていってほしいと願っています。
「時代が激変期の入り口にあるので、視線の先を次の世代に向けて変革を積極的に行うことで新時代にアジャストし、社会システムの急激な変化を回避すべき」
これが私の主張です。
そのためにまず、議員の若返りが必要だと強く感じます。
今春の統一地方選挙では、若い世代が数多く立候補し、当選して欲しいと願っています。
次回もひきつづき統一地方選挙について考えてみます。
繰り返しますが、今は時代の激変期の入り口です。さまざまな立場の住民が知恵を持ち寄って力を合わせて取り組んでいかなければ、今後ますます生きづらくなります。世代や立場、党派性をこえて意見交換をする必要性を強く感じます。
一緒に考えましょう。
ぜひ、ご意見・ご感想を寄せてください。
おまちしています。
鶴ヶ島たろう
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