ベッドタウンとはなにか。あるベッドタウンの現状。 - #ベッドタウンが生き残るためにいま考えるべきこと
出生率が激減し、人口のボリュームゾーンである団塊世代が健康寿命を終えるという「静かなる有事」が進行しています。
知恵を結集して、緊急に対策をとらなければなりません。
ただ、地域の特性によって有効な対策は異なります。東京に限っても、港区と小笠原諸島では、必要な対策はまったく異なるでしょう。
このシリーズでは『ベッドタウン』にフォーカスして考えていきます。
まず、ベッドタウンとは何かを確認しておきましょう。
ベッドタウンとは寝るために帰る地域のことです。
大都市の郊外にある地域で、「衛星都市」ともよばれます。
家賃が安く、比較的自然に恵まれているという特徴があります。通勤時間がすこし長いのを我慢すれば、広めの物件に住めますし子育てにも向いているでしょう。
日本最大の都市である東京を例にします。
東京23区に働く人のベッドタウンはどこでしょうか。
私の住んでいる埼玉県鶴ヶ島市は典型的なベッドタウンです。池袋駅から東武東上線で約40分、運賃は約500円です。
40分くらいで東京都心に出られるエリアはたくさんあります
東京都ではたとえば八王子です。中央線で新宿駅まで約40分、運賃は約480円です。
神奈川県では中央林間が該当します。渋谷駅まで約40分、運賃は約330円です。
千葉県では我孫子(あびこ)でしょうか。東京駅まで約40分、運賃は約650円です。
ベッドタウンに住む人の通勤時間の平均をみてみましょう。
鶴ヶ島市がある埼玉県の平均通勤時間でもっとも多いのは30分から1時間で、全体の29%です。次に多いのが1時間から1時間30分で、全体の23.5%です。半数以上の人が30分から1時間30分の通勤時間です。
これ以上の通勤時間の人となると激減します。1時間30分から2時間では全体の7.2%です。
東京は公共交通網が発達していますし駐車場料金がとても高いので、東京に通勤する人の多くは車を使いません。電車と地下鉄がメインの通勤手段で、地域によってはバスを使う人もいるでしょう。
通勤時間は公共交通機関に乗っているだけではありません。家のドアから職場のドアまでが通勤です。家から駅までと駅から職場までの移動距離を考えると、公共交通機関に乗っている時間は最大で1時間、できれば30分程度が望ましいでしょう。
東武東上線をつかい約40分で池袋へアクセスできるうえに、埼玉県第3位の人口を誇る川越市へも10分で行けて家賃も比較的安い鶴ヶ島市は、交通の面ではとても優れたベッドタウンと言えるでしょう。
しかし、ベッドタウンだからこそのデメリットやリスクも多くあります。今後の記事で詳しく考えていきます。
鶴ヶ島市の現状をざっくりと確認しておきます。
鶴ヶ島市の人口です。
2013年の70,198人が人口のピークでした。では、日本が人口減少フェーズに入った現在の鶴ヶ島市の人口は何人でしょうか。
2022年12月の鶴ヶ島市の人口は、70,217でした。
その差はなんとプラス19人です。瞬間的かつわずかではありますが、人口が増加しているのです。この人口減少局面において鶴ヶ島市は成功ケースとして喜んで良いのでしょうか。
いいえ、もうひとつの数字に注目しなければなりません。
68,447人。これは、2022年12月時点での鶴ヶ島市の日本国籍者人口です。人口がピークの2013年12月時点での鶴ヶ島市在住日本国籍者人口は69,455人でした。その差は約マイナス1000人です。総数が約7万人の鶴ヶ島市において、9年で1000人のマイナスはとても大きいです。
つまり鶴ヶ島市もほかの自治体と同様に、急速に人口減少が起きているのです。
外国籍の人に鶴ヶ島市へきてもらい、なんとか人口規模を維持しているのが現状です。
「はじめに」でも書きましたが、出生数を多少増やしたところで、人口減少は止められません。
自力では人口減少を止められない日本がなんとか人口規模を維持するためには、外国籍の人の力を借りるしかありません。A.I.やロボット技術が発展することで道が開ける可能性はなくはないですが、どうやらまだ先の話のようです。
外国から日本に移り住んで力を貸してもらう、これが人口減少フェーズに入った日本の唯一現実的な解でした。
しかし、入管問題にみるような差別問題に加え、急速な円安です。日本は外国籍の人にとって、『魅力的な働く国』ではなくなってしまいました。
為替は自治体レベルでなんとかなる問題ではありません。せめて差別を解消し、外国籍の方に選んでいただける街にする必要があります。
差別の解消に加え、これまでの考え方を切り替え、「我が町」が生き残る道を模索しなければいけません。
続きはまた数日中に書きます。
ぜひ、一緒に考えましょう。
ご意見、ご感想をお待ちしています。
鶴ヶ島たろう
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