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愛する人が壊れる瞬間、私が決めた未来

変わり始めたオラ子

同じ職場に勤めていて、当時同棲中の私の恋人「オラ子」。
シャキシャキと仕事をこなして、周りをしっかりと観察し、人を支える力もある才気煥発な女性。私はそんな彼女に初めてあったときから尊敬し憧れていました。

付き合い初めて4年目。そんなオラ子に少しずつ異変が。積もりに積もった職場へのストレスがオラ子の心を蝕んでいました。
職場には、責任を負おうとしない人たちが溢れていて、経営陣も自ら動こうとせず、問題が起こるまで見て見ぬふりをするありさま。
そんな環境に、彼女の不満は日々募っていったのです。

「会社に行きたくない!」「消えたい…」という言葉が日に日に増え、仕事から帰ると横になることしかできない状態。かつて笑顔の多かった表情はくもっていき、自分を責めて涙を流す毎日――それでも職場へ無理やり行こうとする彼女。

彼女が帰宅して無言のまま横になる姿を見るたびに、胸が締め付けられました。あの笑顔が消えていく――私の知っているオラ子が少しずつ失われていく感覚が不安でたまりませんでした。

そんな彼女を「見捨てる」「放って置く」「別れる」なんてことはできない!
なんとかしなきゃ!
私が支えなくては!――
強い思いが心に芽生えました。


「支える」という決意

彼女がうつ病だと分かっても、私にはすでに迷いなんてありません。
「この人を支え、また輝かせることが自分の使命なんだ!」
そんなヒーロー気取りの根拠のない実感と思いが湧き出ていました。

大げさかもしれませんが、私はオラ子のことを「組織をまとめあげて人々を導くような存在」だと思っています。
それくらいコミュニケーション能力も、主体性も、利他の精神ももった人格者です。

私にそこまで思わせるくらい眩しい存在のオラ子が、会社に潰されて気力もキャリアも失ってしまう。そんな未来がイメージされるだけで、職場への怒りが湧いてきました。

「会社は悪くないから…。私の考え方が悪いの」と涙ながらに自分を責めるオラ子…。なんにも悪くないのに!

私は全力で否定し、彼女の価値を伝え続けました。
「オラ子はなにも悪くない!」「オラ子はみんなが必要としていることを率先してやってきたじゃん!」「オラ子みたいなすごい人は見たことがないよ!」
こんな言葉を繰り返して、なんとか肯定感をもってもらおうと躍起になってました。

「この人を支えるのが私の使命だ」と決めたからには、心の絆を強固にする必要があります。ただの恋人関係でなんていられない!だったらもう『結婚』するしない!これからは家族として支える…!
他人でいたくない――
私がこの人を支えられる存在でありたいとおもったんです。

私のプロポーズをオラ子は受け止めてくれました。


職場への思い――怒りと行動

オラ子を追い詰めた職場環境に対して、私の中に湧き上がるのは強い怒りです。
「真面目に頑張る人が損をするような環境は許せない。こんな理不尽な状況をぶっ壊したい。」
そんな思いが原動力となって私は行動を始めました!

タスク管理の是正、1on1ミーティングの導入、業務報告ミーティングの開催…
自分が管理職のポジションでないことなんて気にしている場合じゃありませんでした。管理と活気が腐っている職場でそんなもん関係ない!社長と部長に直談判し、私の主導で行う許可を貰いました。

心の中でずっとこう思ってます。
「自分だってこの腐った職場を作った原因かもしれないんだ。人に任せるんじゃなくて、自分の力でも変えてみせなきゃ!オラ子みたいな被害者はもう増やしたくない!」
自分のできる精一杯の力で、職場改善に取り組む必要があると感じています。

行動を続ける中で、少しずつ職場環境が変わっていく実感。
怒りを原動力にして、オラ子を追い詰めた理不尽さに立ち向かうための力にしました。


支える日々の現実

「あなたに迷惑をかけたくないから、離婚してほしい。」
ある日、オラ子からそう告げられたとき、私の頭の中は真っ白に…
オラ子は魂も感情も抜けたような表情でこちらをジトっと見つめ、淡々とした口調で言いました。胸をぎゅっと握りつぶされたような気分…
「離婚はやめておこう!オラ子を一人にできない!」と必死に説得。
つるもんの試練も始まりました…

支える日々は、想像以上に大変です。彼女が「一人にしてほしい」と言えば、そっと距離を置く。逆に「そばにいてほしい」と言われたら、どんなに忙しくても作業を中断して彼女の隣に座る。コミュニケーションを取るときは、決して自分の考えを押し付けず、彼女の言葉に耳を傾けることを徹底しました。

そんな中で辛い瞬間はいっぱいありました。「消えたい」「私は役立たずだ」という彼女のネガティブな言葉を何度も聞くたびに、私の心も張り裂けそうです… オラ子の前で私が泣いたことだって何回もあります… 自分の不甲斐なさに呆れてしまうこともしょっちゅうです。

それでも、苦しい日々の中に小さな希望があります。彼女がふと見せる笑顔!うつ病の症状が落ち着いたとき、「ありがとう」と笑ってくれるその瞬間――その一瞬だけで、私の心の疲れは全て吹き飛びます!


読者の方々へ

うつ病のパートナーを支えることは、きっと簡単なことではありません。「私が我慢すればいい」とか「もっと心を強くもてばいい」といった単純な話ではなくて、支える側も、迷い、悩み、そして自分自身の弱さに向き合わないといけません。

私自身、何度も「本当にこれでいいのかな…」「彼女にとって、私の存在は重荷になっていないかな…」と悩みました。今でももちろん思うときがあります。それでも、彼女のそばにいることを選び続けています。
彼女の小さな笑顔や「ありがとう」の一言が、私にとって何よりも大きな希望だからです!

きっと読者の皆さんの中にも、うつ病を抱える大切な人を支えようとしている方がいるかもしれません。支えたくても、なにが大切な人のためになるか分からず、途方に暮れることもあるかと思います。支え方にも正解はきっとありません。
でも、正解が分からないからこそ、一歩ずつでも「最善を尽くそう」とすることが大切だと思っています!

もし同じような状況にいる方がいれば、一人で抱え込まずに、ぜひ信頼できる人に相談してみてください。そして、自分自身を大切にしながらパートナーと一緒に歩んでください!


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