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秋の大文化祭!終わりました。

代表です。
弦巻楽団秋の大文化祭!は12月3日に無事に全演目を終演いたしました。『冬の入口』『死と乙女』そして東京から参加してくれた劇団5454による『宿りして』、2ステージずつ全6ステージ、充実した内容でお届けできたと自負しております。

こちらではあまり途中経過をご報告できてませんでしたが、劇団5454の作演出である春陽漁介さんによるWS(5日間5箇所!)、『死と乙女』チームによる北海道大学の馬場先生を招いての勉強会、『冬の入口』の…さまざまな取り組みが行われました。

劇団としてもっと頑張らなくては、と思う反省も多いのですが、受講生や劇団員は本当によく頑張ってくれたと思います。

充実の結果として、『死と乙女』『宿りして』の2作品が参加していた札幌劇場祭TGRでは『死と乙女』が優秀賞、出演の井上嵩之が俳優賞、そしてなんと『宿りして』が大賞!!!というこれ以上ない(文字通り「これ以上」の存在しない)結果となりました。観てくださった方、劇場の皆さん、応援してくれた方、劇場祭実行委員のみなさん、審査員の方々、ありがとうございました。

昨年の『ピース・ピース』に続いて本気で二連覇を狙っていたので、悔しい気持ちはありますが、2月に拝見し惚れ込み、札幌上演を誰よりも間近で観ていた身としては『宿りして』の素晴らしさは充分に分かっていますので、連覇ならずも止むなし!と言った気持ちです。清々しいくらいです。

大賞は二連覇ならずですが、俳優賞は2年連続輩出!(昨年は佐藤寧珠『ピース・ピース』)。井上くんとはちょうど10年前の『ブレーメンの自由』が初共作だったので、記念としても嬉しいです。この10年様々な役を弦巻楽団で演じてもらいながらも、よく考えると現代劇で・ストレートプレイで・一般人の役を演じてもらったことがそんなにないような気が…。なので井上くんの演技力を存分に味わってもらうことが出来て良かったです。

『死と乙女』の舞台写真をほんの少し。

『死と乙女』はチリのアリエル・ドーフマンによる翻訳劇です。チリの内戦、軍部による独裁政権時代が背景にあるこの作品の上演に向けて、北大の馬場香織先生に来ていただき、勉強会も行いました。なぜ独裁体制が16年も続いたのか。交わされてる単語のニュアンスはこれで良いのか。その後チリはどんな運命を辿ったのか。

翻訳劇を見ていてありがちなのは「何を話してるのか分からない」と感じてしまうことです。役者は真剣に演技している。むしろ感情は伝わってくる。話してるセリフの言葉の意味も全て理解できる。けれど「何を話してるのか分からない」。そんな場面に立ち会ったことはないだろうか?

そうはならないようにずいぶん注意した。

どうしてそうなってしまうか?それは交わされてる言葉の意味や感情ではなく「位置づけ」が食い違っているからだ。「位置づけ」。ニュアンスでも良い。

そして何より、それがちゃんと交換できているか。すれ違うにしても、取りこぼされるにしても、同じものを認識してるか。

そうならないようずいぶん細かく精査・検証を重ねた。

『死と乙女』を観てくれた方から井上君だけじゃなく、共演の佐久間も、そして何と言ってもヒロイン・ポーリナを演じた木村歩未への絶賛の声も多く頂いた。とても嬉しい。特に木村さんは所属する劇団fireworksの本公演がある中、こちらへの客演を選んで下さったので、絶対に彼女の良い面を活かしたい、そう思っていた。送り出してくれた劇団fireworksにも感謝を。

正直、初日が終わってお客様を送り出している時、色んな方が「良かったよ」と言ってくれても内心(お世辞かな…)と思っていた。もちろん出来には自信がある。ちゃんとこれだ!と形に出来た実感があった。でも、この『死と乙女』が受け入れられたこと自体が意外だったと言うか。劇団5454の方々に「話がまず面白いですし」と言われてようやく(ああ…そうか、面白い話だもんな)と思い出す始末だった。

だって、初めて戯曲を手にし読んでから30年である。

30年間何度も読んできた戯曲だった。いつかやりたい。最初に買った戯曲は以前の劇団の稽古場に置いておいて無くなってしまった。20年以上前から上演を夢見ていた計算になる。

なので戯曲の面白さ、インパクトが知覚されなくなっていたとも言えます。

上演して、お客様の反応で改めてそれを思い出させてもらった気がします。

そして大賞を受賞した劇団5454『宿りして』。彼らの舞台を初めて観た時から札幌で上演して欲しい、そう思っていた。札幌の演劇に一番必要と思う要素が彼らの舞台には詰まっていた。

手法や、作品の要素は札幌の劇団が取り組んでいる手法・要素と違いはなかった。ただ、それら全てが高次元で舞台化されていた。着想の面白さ、それを脚本化していく緻密さ、それを違和感なく舞台化する丁寧な演出、物語を自発性のある劇にしていく演者の高い演技力…。稀有な要素で誠実な問題設定と、フェアな客席との距離感があるが、そこについて語り出すと文章が終わらないので割愛。

なので札幌で演劇に取り組む若い人間たちに特に観てもらいたかった。正直そこに訴求することは弦巻楽団として力足らずだったのだが、観てくれた演劇関係者はしっかりと何かを受け取ってくれたようだった。

場当たりを見学させてもらった演技講座の受講生は「化け物ですね…」と言っていた。

大賞受賞ということで、また札幌に来てもらえるのは確定だと思うので、次回はもっともっとPRしたい。

長くなりました。

本当にありがとうございました。

来年も強力なラインナップで秋の大文化祭!をお届けする予定です。既にそちらも動き出しておりますが、アッと驚く、え?と目を疑う作品・団体でお送りします。少し先は長いですが楽しみにお待ちください。


『宿りして』舞台稽古の様子。右が春陽漁介氏。
素敵な台本(文庫本サイズ)もいただきました。
千秋楽には舞台挨拶に春陽漁介氏も登場
演技講座生による『冬の入口』
春陽氏
劇団5454の女優さんと交流する講座生ちえり
バラシの後、全員で交流会を開きました

これがやりたかった!と言っても過言ではない交流会。講座生も『死と乙女』チームも劇団5454の皆さんとすっかり仲良く(?)なれたようです。しんどかったけど、やれて良かった。

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