【初演の感想】末広亭柏倉恭三さん「我が事のように心を揺さぶられる」|#39『ピース・ピース』札幌演劇シーズン2024-冬
末広亭柏倉恭三さん(TGR2019〜2022審査員)
TGRにかかわらせていただけた最後の年に観られた作品。わたくしは仕事中の事故でTGRから離れたのだけれども、その時点で大賞に推していたのはこの作品でした。
派手ではなく、奇をてらうでもなく、淡々と自らの裡にある思い出を紡ぎ織りなす掌編の私小説、三篇。
静謐な空間に、暖かくて優しくて、ほんの少し悲しい、いつだって思いどおりに行かない現実に翻弄される、どこにでもありそうで、どこにも無さそうな、母と子の物語。
そして、劇場で観て初めて、その物語の奥行きと拡がりが客席の我々を包み込み、彼女たちの記憶と繋がり、覗き見る他人の人生に、我が事のように心を揺さぶられる弦巻さんの魔法を、また観られるのがすごく嬉しい。
初演時のことにパトスは、演じる人々と観客がとても近い距離で、ほぼ同じ目の高さでした。演劇シーズンでは、広くて遠いコンカリーニョ。我々観客はまた違った角度から彼女たちの物語を見守ることとなるので、そこにどんな光景が広がり、我々と繋がるのか、楽しみです。
弦巻楽団#39『ピース・ピース』
舞台には3人の女優。かわるがわるそれぞれが「母」について語り、少し奇妙な、しかしありふれた母と娘の姿が描かれる。
彼女たちの口から語られる「母」の姿は、『冷たい女』、『弱い女』、そして——。
「母」について語り、同時に「母」を演じる3人の女優。
母として、時に娘としてそこに現れる彼女たちの姿から、母から娘へ引き継がれる祈り、願い、あるいは呪縛を描きます。モノローグのような、ダイアローグのような、そこにあるのは不思議な心の安らぎ。
出演
赤川楓
佐久間優香
佐藤寧珠
日時
2024年1月27日(土)〜2月3日(土)
会場
生活支援型文化施設コンカリーニョ
札幌市西区八軒1条西1丁目 ザ・タワープレイス1F(JR琴似駅直結)
TEL 011-615-4859
→Googleマップを開く
料金
前売・当日ともに
一般:3,000円
U-25:2,000円
高校生以下:1,500円
その他お得な回数券もあり! 詳細は札幌演劇シーズン公式サイトをご確認ください。
スタッフ
作・演出:弦巻啓太
照明:手嶋浩二郎
音響:山口愛由美
舞台美術:藤沢レオ
楽曲提供:橋本啓一
宣伝美術:むらかみなお
制作:佐久間泉真 ほか
主催:札幌演劇シーズン実行委員会、演劇創造都市札幌プロジェクト、北海道演劇財団、コンカリーニョ、BLOCH、札幌市教育文化会館(札幌市芸術文化財団)、北海道立道民活動センター(道民活動振興センター)、北海道文化財団、ノヴェロ、札幌市
後援:札幌市教育委員会、北海道新聞社、朝日新聞北海道支社、毎日新聞北海道支社、読売新聞北海道支社、日本経済新聞社札幌支社、HBC北海道放送、STV札幌テレビ放送、HTB北海道テレビ、UHB北海道文化放送、TVhテレビ北海道、STVラジオ、AIR-G’エフエム北海道、FMノースウェーブ、FMアップル、三角山放送局、北海道
連携:札幌国際芸術祭実行委員会
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