5.はいからはくち/風街ロマン
イントロ
和楽器パートから始まる。ここまでバンドサウンドだったのに急にどうしたのか。
そして英語で大瀧詠一が喋りだす。ちなみにBannnai Tarao(多羅尾伴内)とはミステリ映画シリーズの探偵の名前である。
ここで日本と西洋の対比だと気付く。多羅尾伴内にとってハイカラ(西洋風をまねたり流行を追うこと)は美しいらしい。
とても怪しい。
そしてハイカラで激しいギターとドラム、熱い。
1番
女性と一緒にコカコーラを飲むイケイケのお兄ちゃん。なるほどこれがハイカラなのか。
この曲に至るまで筆者と『風街ロマン』が結んできた信頼関係から考えると、このようなストレートな表現は皮肉だ。コカ・コーラを飲む(西洋文化を無批判に受け入れる)ことがハイカラでイケていると盲信する日本人を批判している。ハイカラ=馬鹿者くらいの意味で捉えてもよいと思う。
西洋文化に心酔している君を女郎花に例えて批判している。
「はいからはくち」には有名なダブルミーニングがある。主人公は「ハイカラ白痴」つまり西洋文化を馬鹿の一つ覚えで信じ切っており、その病的な盲信は「肺から吐く血」が出るくらいに自分を蝕ばんでいる、というものだ。西洋文化の盲信に警鐘を鳴らしている。
間奏!
鈴木茂のギターソロと松本隆のドラムソロが炸裂する。ベースも動く。ギターのメロディラインはフォーク的であり、ドラムソロは和モノの楽器を導入している。彼ら自身はハイカラな西洋文化とどう折り合いをつけるのか。この曲は一歩間違えるとはっぴいえんどにとって巨大なブーメランになりうる。
2番
主人公は血を吐いている、つまり西洋文化に蝕まれている。そんな状態では君のNOになにもできず夕暮れになった(ここ多分読み取り不足ですすみません詳しいかた教えてください)
「蜜柑色したヒッピー」という明らかな差別表現。黄色人種なのにヒッピーを真似てるような馬鹿者であると。そんな君といる僕も「はいからはくち 」なのだと。
まとめ
5曲目にしてメッセージ性を際立たせている。「風をあつめて」や「暗闇坂むささび変化」においても変わりゆく東京の景色を描いたが、「はいからはくち」では仮想敵(西洋文化)を作りそれを盲信する日本人を批判した。ハイカラで熱い曲。
ついでに…
6.はいから・びゅーちふる/風街ろまん
作詞・作曲・歌:多羅尾伴内
ブルース調の曲に合わせて「はいから・びゅーてぃふる」と言っているだけの曲。大瀧詠一の作。箸休め的な曲として位置づけられる。「はいからはくち」のメッセージ性が強すぎたのでそのインパクトを緩和するクッションのような曲になっている。
一般的には「おまじないソング」と言われている
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