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桂男(かつらおとこ)

月には永遠に枯れないとされる桂の木があるという。
古代中国における神話時代の皇帝である三皇五帝の一人、炎帝の孫を殺した罪でこの桂の木を永遠に切り続ける罰を受けた男の伝説がこの妖怪、桂男の元になっている。

竹原春泉画『絵本百物語』より「桂男」


「古今和歌集」にある壬生忠岑の

ひさかたの 月の桂も 秋はなほ もみぢすればや 照りまさるらむ

という歌にある“月の桂”とは正にこの木を指している。

現代語訳は、
「月の桂の木もやはり紅葉するから秋の月は一段と照り輝いて見えるのだろうか」
とされている。
“ひさかた”には「(月の)日(が)射(す)方」と「久方(永遠)」という語源があるがこの歌の場合はこの桂の木の事を考えれば「久方(永遠)」の方が相応しい様に思う。
つまり「秋の月が照り輝き美しいのは、永遠とされる月の桂でも紅葉して(=枯れそうになって)いるからだろうか」のように散り際が美しい物の哀れを歌った歌と捉えると随分と違った印象になる。

ちなみにカツラの語源は上代の髪飾りとして用いられた蔓(かずら)とされるが、実は永遠に保てる髪の毛という意味でこの月の桂が語源なのかも知れない。

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