詩『涙目線』 459字
泣くに泣けない涙と知ったとき
わたしはすでに五十を過ぎていた
泣きたいときに泣けない涙と気付いたとき
それはすでに渇き切っていた
泣いてからじゃないとはじまらない
そんな涙もあるのかと
涙目線は語る
もういいや
まあだだよ
いつも何かに追われて
でもそれはわたしに追いつくことがなくて
いつも追われるという羽目に
泣けないじゃないか
今やいろんな涙があって
でもそうそう泣けたものじゃない
幸せの涙もあるというのに
誰かのための涙もあるというのに
わたしという存在自体
泣けるはずなのに
涙腺が
言うことを聞かないんだ
映画を見て泣いたけど
そんな涙じゃなくて
木の根っこから吸い上げた
そんなところからすくい上げたような
涙を流したかったんだ
肩で息をするくらいに
あなたと居ることで
泣ける涙もあるけれど
わたしがわたしを見て
泣ける涙は
いつもこう語りかける
泣いてもいいよ
涙はきっと
かくれんぼしてるんだ
自分でさえ見つけられないくらいに
大きく息を吸ったら
思わず泣けそう
遠くて近い
そんな涙目線
☆彡
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