よく見ておきんさい
海岸線を、
母はねんねこにくるまっている
赤ん坊に呼び掛けた。
その声は届いているだろうか。
波音にかき消されて、
否、その波音こそ、
母が聞かせたい「言葉」なの
だった。
水平線がまっすぐに
横たわっている。
時折、身体を上下させて、
おぶり直す。
母とその海に、
赤ん坊はよく眠った。
(おわり)
☆
お世話になっております。
つる です。
久しぶりに、
140字小説を書いてみました。
文中にあります、
ねんねこ、とは、
赤ん坊を背負うときに用いる
防寒用のどてらのようなもの、
です。
(ホトトギス季寄せより)
つる かく🍂