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よく見ておきんさい(140字小説)

よく見ておきんさい

海岸線を、
母はねんねこにくるまっている
赤ん坊に呼び掛けた。

その声は届いているだろうか。
波音にかき消されて、
否、その波音こそ、
母が聞かせたい「言葉」なの
だった。

水平線がまっすぐに
横たわっている。

時折、身体を上下させて、
おぶり直す。

母とその海に、
赤ん坊はよく眠った。

(おわり)

お世話になっております。
つる です。

久しぶりに、
140字小説を書いてみました。

文中にあります、
ねんねこ、とは、
赤ん坊を背負うときに用いる
防寒用のどてらのようなもの、
です。
(ホトトギス季寄せより)

つる かく🍂

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