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コルトスナイパー事件
つりったー結成釣行から翌週。関東に台風が直撃し、僕が久々に釣りの予定がない週末を過ごした後のことでした。
鳩さんから驚きの連絡が飛んできました。
「JBさん、びめしがコルトスナイパーを買った話聞きました?」
「コルトスナイパー!?あの!?」
コルトスナイパー。SHIMANO製の3万円(当時)を超えるロッドで、陸からブリやカンパチを釣るために釣り中上級者が手にする代物です。
これまで数千円〜1万円台のロッドしか持っていなかった我々の中で、びめしがコルトスナイパーを買ったというニュースは衝撃でした。
「この前の週末に、彼が富津まで釣りに行ったときのことが切欠だと思うんですけど…」
「あの台風の中釣りに行ったんですか!?」
「そうなんです、木更津のリベンジで。ちょうど予定が空いてた僕もついて行ってー…」
顛末はこうです。
――――――――。
比較的雨が小降りだった土曜日。木更津で2回連続ボウズを食らい、さらに遠方の釣り場が気になったびめしは、偶然予定が空いていた鳩さんを乗せ、木更津より先にある富津近辺の釣り場を探しに行ったとのこと。
前述の通り当日台風。釣り人はまばらだったそうなのですがー…
「富津新港ってところに辿りついたんですけど、そこで釣りしてるおじさんが次々魚を上げてたんです」
「魚ってアジとかですか?」
「いえ、それが太刀魚で」
「太刀魚が東京湾の堤防で釣れるんですか!?」
太刀魚。当時これまでハゼやアジ、シーバス、アナゴしか狙ったことのない我々にとっては高嶺の花というべき魚であり、また(漁場が豊富な関西以南ならともかく)東京湾で陸から釣れる魚であるとは当時の僕には知る由もありませんでした。
「びめしはショアジギング装備を持ってたので、すぐにおじさんの隣で釣りを始めたんですけど全然釣れなくて」
「何でですか?」
「おじさんが言うには飛距離だって。確かにおじさんの方がロッドが長くて、びめしより少し遠くまで飛んでたんですよね。おじさんも『兄ちゃん、その竿でそこまで飛ばすのは凄いけどなあ。後もう10メートル飛んだら絶対釣れるけどな』って」
「それは…悔しかったでしょうね。びめしが僕らの中では一番飛距離出てるのに届かないとは」
「で、買ったそうです。コルトスナイパーS1000H-3(当時の価格: 3万円)」
「ヴァンキッシュの値段に引いてたびめしがねえ…」
本当にそれが切欠だったのでしょう、以降彼の口からは「もっと飛距離を」という言葉を聞くことが増えました。
またこれを機に、我々のターゲットは自然とシーバスやアジだけではなく、ブリやカンパチといった大物に傾いていくことになるのです。
※後日譚(2023/11/17、某居酒屋にて)
JB「富津新港で太刀魚が釣れてた時のこと覚えてる?」
びめし「覚えてるよ、台風の日。軽トラに乗ったおっちゃんが2-3本釣っててね」
JB「そうそう、俺も鳩さんからの伝聞だけど。流石よく覚えてるね」
びめし「そうだねー、その時初めて『あっ、太刀魚って綺麗なんだな』と思ったんだよ」
JB「どういうこと?」
びめし「ほら、生きてる太刀魚ってあんま観ないじゃん。でも釣ったばかりの太刀魚は背びれが靡いて虹色にみえてね。それが綺麗だなと思ったのをよく覚えてるよ」
JB「めっちゃいい話じゃん」
びめし「釣れなかったけど」
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