キラキラひかる肝臓
今年の初めごろ、こんな記事をアップしました。
料理家/シェフのヤオさんの自宅でのお話です。
ヤオさんのいるコミュニティでは、1日に一頭の豚のみを捌く決まりになっています。
先日のこと、ヤオさんの自宅に到着すると、
とっても嬉しそうなヤオさん。自宅にいたメンバーや隣人さんにこの日、手に入れることのできた豚のレバーを披露しました。
一日一頭しか捌かれない豚の肝臓。
もちろん、肝臓を手に入れられるのは一人だけです。
「隣にもう一人おばさんがスタンバッてたんだけどね、
私が本当に絶妙なタイミングでこのレバーを手にすることができたのよー!
もう、イエーーーーーーーーーィ!!!て叫びたかったわー。」
と本当に嬉しそうに武勇談を語ります。
大きな豚一頭、一つしかない部位もたくさんあります。
そういった貴重な部位は、解体されて店頭に並ぶタイミングに居合わせないと手に入れることができないのです。
その幸運な豚のレバーを見せてもらうと、
なんと新鮮でキラキラと光っているのです。
瑞々しく、色が鮮やか。
「うわぁ、綺麗…」
と思わず呟いてしまいました。
内臓が綺麗って…って自分でもどうかな?と思うのですが、
私は、こんなに綺麗なレバーは一般的なお店で見たことがありませんでした。
スライスされたレバーはサッと他のハーブと一緒に炒められ、
食卓に並びます。
食事が始まると、集まってきた人たちもウキウキ。
ヤオさんが手に入れることができたレバーでウキウキなのが、みんなにもちゃんと伝わっています。
心なしかダイニングキッチン全体がキラキラと光っています。
いつ行っても
スーパーにプラスチックでパックされて並んでいる状態
お肉屋さんで山積みになっている状態
で販売されているお肉との違いは、
鮮度は元より、
豚一匹という、先ほどまで生きていた命をいただく
距離感がとても近いのです。
その限られた命をいただけることへの感謝から、
手にいれられた時の喜びが大きく、
美味しさも倍増しているんではないでしょうか。
人は昔からずっと心地よさを求め、
その追求先が便利さとなり、
”皆平等に”と言う名の下、
「簡単にいつでも誰でも手に入れることができる」
商品が開発され、それが販売システム化されると、
自然のサイクルと人間が分離してしまっているように感じます。
簡単にいつでも誰でも手に入れることができること
欲しいと思った同じものをみんなが手に入れられること
は、心地いいのかな?
キラキラとひかる肝臓に
「お金を積んでも手に入らない輝きってもんがあるんだよ」
と言われたような気がしました。