本が私を救う

腹が立っているときも、悲しいときも、悔しくて泣けてしまうときも、本を開くと気持ちがすうっと別の世界にいく。

映画だと、間を味わううちに気持ちが自分に戻ってきてしまう。音楽だと、どの曲にしようかと探しながら、「今はこんな気分だからこんな曲がいいかな」と考えること自体が自分の傷をガン見することであり、客観的に悲しみを見て曲を選んでも、自分がDJではなんだか白けてしまうのだ。めんどくさい性格だね。
だけど、本は自分のペースで話が進むし、どーーーでもいい他人の痴話喧嘩だったり、他人の悩みだったり、他人があちこちの男と寝たり、(なんつー本を読んでいるんだ)(まあ偶然ね)していると、あまりにぶっ飛んだ世界なので自分のことをヨイショとよそに置いておけるのだ。

ちなみに読んでいた本は、「言い寄る」田辺聖子著、でした。雑誌で紹介されていて、大人の恋愛小説読みたいなぁ〜と読んでみた。性に積極的すぎてヒョーーーー(渦に飲まれる感じ)となる。えっ、こんなに性を謳歌しているのが普通なのか!?とだんだん自分の貞操観念を疑い始めるくらい。なんだか少しレトロでちょっとおバカっぽくて、スピード感ある文体も、読みやすい。
このぶっ飛んだ本が、あの気持ちの時、ちょうど読みさしでよかった。


160万人が愛した女主人公(ヒロイン)乃里子が帰って来た! 乃里子、31歳。フリーのデザイナー、画家。自由な1人暮らし。金持ちの色男・剛、趣味人の渋い中年男・水野など、いい男たちに言い寄られ、恋も仕事も楽しんでいる。しかし、痛いくらい愛してる五郎にだけは、どうしても言い寄れない……。乃里子フリークが続出した、田辺恋愛小説の最高傑作。

言い寄る (講談社文庫) https://www.amazon.co.jp/dp/4062767597/ref=cm_sw_r_cp_api_fabc_rf0PFb5VEM0JJ

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