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ヒューマンルネッサンス研究所という、おもしろい未来研究所で、1970年にオムロン創業者…

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ヒューマンルネッサンス研究所という、おもしろい未来研究所で、1970年にオムロン創業者立石一真らが発表した未来予測理論「SINIC理論」を下敷きに、暮らしの中から未来の兆しを、鳥の目、虫の眼になって見つけ、未来ソウゾウしています。 https://www.hrnet.co.jp/

マガジン

  • 自律社会という近未来へ

    ヒューマンルネッサンス研究所は、オムロンの未来社会研究所です。未来予測の基盤は「SINIC理論」というオムロン創業者らが構築した理論です。半世紀以上前の未来予測を愚直に羅針盤とし続けられるのは、この理論への共感が大きくなる一方だからです。みなさんも共感の船に乗りませんか?

最近の記事

未来としての「自然社会」

未来:歴史=63:1,000,000のSINIC理論  SINIC理論は、100万年前からの人類史を辿って2033年の自律社会の完成までを、社会発展の1周期としてとらえた未来予測です。つまり、100万年のビッグヒストリーを俯瞰して、1970年以降の数十年間の未来を予測したものです。人類社会の発展一周期目のラスト・ワンマイルの未来を予測したものです。  しかし、それだけの歴史を背景にして、当時あぶり出した、「情報化社会」、「最適化社会」、「自律社会」という3つの未来だからこそ

    • "well-being社会"という社会?

      消えないモヤモヤ  先月末に開催された、”エッセンスフォーラム2024”という、賑やかかつ素晴らしいフォーラムに参加した。聞くだけでなく、「ウェルビーイング社会の解像度を上げるための視点」というテーマのパネル・セッションにも登壇させていただいた。  今さら、と叱られそうだが、じつは、依頼を受けてから、そしていまだに「ウェルビーイング社会」という社会のイメージを描くことができないままでいる。  他のパネリストのみなさんのおかげで、そのセッションは立ち見の方も出ていたほどだった

      • “薩摩会議”の熱量と未来

        150年後の世界に、私たちは何を遺すのか  未来を見通しにくい中で、様々な未来会議が開かれている。それぞれに特徴がある。その中でも気になっていたものが「150年後の世界に、私たちは何を遺すのか?」という問いに真正面から向き合う「薩摩会議」だ。野崎恭平さんほかSELFのみなさんが企画・運営する、すごい会議だ。  なぜ、150年後なのか?それは、日本が近代化に着手した明治維新から150年を経てなお2018年の社会システムの基底に残ったままの現実に対し、今だからこそ次の150年

        • リーダーと未来

           アメリカ大統領選挙が話題となる中で、国内でも自民党の総裁、立憲民主党のリーダー選びが始まった。そのどちらかが日本のリーダーにもなる可能性は大きいのだろう。  中でも、与党の自民党は過去の総裁の顔をずらりと並べたポスターを掲げ、「日本を新しい未来へと導く白熱の政策論争が繰り広げられます。」とウェブでも発信している。未来へのリーダーの”THE MATCH”だ。 リーダー候補のスローガン  そこで、政治というよりも未来への関心から、9名の候補者が掲げているスローガンを、ウェブ

        未来としての「自然社会」

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        • 自律社会という近未来へ
          40本

        記事

          不確実な未来だから、ネガティブ・ケイパビリティを

           今日は防災の日だ。本当に、この一週間は針路も速度も予想できない、これまでにない不思議な台風10号によって、私の予定もガタガタ狂った。「観測史上最大の雨量」という報道がいくつも出ていたが、日本中の予定変更の量も史上最大だったかもしれない。  自然は、どんなスパコンをもってしても、過去データからの予測ができなくなりつつあるのだろうか。 不確実な時代の未来予測  予測と言えば、未来予測ではSINIC理論がある。最近、ますますビジネスの世界で関心の的になってきているようで、こ

          不確実な未来だから、ネガティブ・ケイパビリティを

          ルネッサンスとして観たパリ五輪

           パリ五輪が幕を閉じた。17日間の会期中、32競技329種目のプログラムに、200以上の国と地域から、男女ほぼ同数の総勢10,000人を超える選手が参加し、950万枚ものチケット販売数となった大会では、今回も多くのドラマが生まれ、そして未来への予兆も感じられた。 広く開かれたオリンピックという"チャレンジ"  今大会のスローガンは”Games Wide Open(広く開かれた大会)”、それは、開会式直後に投稿したコラムにも記したとおり、自由と多様性を全開に幕を上げた。

          ルネッサンスとして観たパリ五輪

          パリオリンピック開会式に見た未来

          スローガンは”Games Wide Open”  パリオリンピック2024が開幕した。大会スローガンは”Games Wide Open(広く開かれた大会)”であり、その実現のために「セレブレーション(祭典)」、「レガシー(遺産)」、「エンゲージメント(全員参加)」の三つの柱を立てて準備されてきた大会だ。本コラムでは、そこから未来を覗いてみたい。  一つ目の「祭典」、開会式からして、閉じたスタジアム内でなく、各競技会場も、可能な限りパリの有名な史跡や建築遺産を舞台とし、外に開

          パリオリンピック開会式に見た未来

          風土と手仕事を楽しむ、ゆとりある未来

          未来の兆し探しの場  未来の兆しは、どこに行けば探せるだろう?「最先端は大都市のド真ん中でこそ見つかる!」という人もいるだろう。確かに、"新しい何か"は、その時代の中心となる場から生まれることが多いはずだ。  しかし、未来は全く新しいものばかりとは限らない。故きを温ねてこそ気づける未来の兆しもある。そして、それらは大都市のド真ん中からは見つけにくいのが常なのだ。 いざ、日本の生まれた出雲へ  というわけで、日本の始まりの地へと未来を感じる旅に出かけた。出雲縁結び空港の

          風土と手仕事を楽しむ、ゆとりある未来

          10代は未来持ち、60代は履歴持ち

          短尺化する未来 「未来」と言っても、どのくらい先を指すかは、人それぞれにさまざまだ。一瞬先や明日という直近の未来から、遙か遠く100年、1000年後の未来まで、その人その時の関心事によって、時間の長さはいかようにも変わる。  けれど、ここ最近の世の中は、未来をどんどん近くに引き寄せてきている。為替レートや株価など、世界経済の中核メカニズムの数値が、コンピュータによって瞬時にアップデートされていく中で、遠い未来への構えを持ちにくくなっている。 高校生との未来ソウゾウ  

          10代は未来持ち、60代は履歴持ち

          自律社会のエンジンは心のテクノロジー

          半世紀前に予測していた「自律社会」  このコラム「みらいのミカタ」の背景には、SINIC理論という未来予測理論がある。その未来ダイアグラムでは、今年までが「最適化社会」という世界大転換、そして2025年からは「自律社会」、工業社会以降これまでの社会発展ルートの延伸とは価値観を異にする時代が始まると予測されている。  では、この予測を打ち立てた60年代末、彼らは自律社会をどのように描いていたのか。プロジェクトメンバーの一人で、当時立石電機の中央研究所長であった山本通隆氏の記

          自律社会のエンジンは心のテクノロジー

          遠・中・近、三種の未来でGO !

          望遠鏡、双眼鏡、虫眼鏡  未来の見方について、オムロンの創業者であり、ビジョナリーでもあった立石一真の教えの一つに「三つの未来」の大切さがあります。 1.遠くの未来 2.中くらいの未来 3.近い未来  以上のとおり、眼鏡みたいな三種ですが、遠・中・近の未来をセットにして描き出すということです。  はるか遠く先を見るには「望遠鏡」、なんとなく見えているけれど、よりはっきり見たい先は「双眼鏡」、近くを微細に見るためには「虫眼鏡」か「顕微鏡」、それぞれに、道具も見方も変える必要が

          遠・中・近、三種の未来でGO !

          「選択できる未来」、それは自律社会

           ひさしぶりの読書備忘録となります。ゴールデンウィークもあったりで、私としては珍しいジャンルの本を取り上げました。  なぜ、この本を手に取ったのか?それは、一見して素晴らしい成功物語の連続というキャリアコース物語ですが、それだけではなさそうな著者のライフヒストリーに興味が湧いたからでした。もちろん、その背景には、この本のタイトルに惹かれたというところがあります。 自ら生き方を変え進む  著者は、幼稚園から高校までを田園調布雙葉学園で過ごしたとありました。小学校から高校は、

          「選択できる未来」、それは自律社会

          豊かな社会の中で、家畜化する人間と人間化する機械。人と機械の未来はいかに?

          4割の自治体は消滅可能性自治体  前回(4月15日)コラム「ソロ暮らし社会が、そろりそろりとやってくる」で人口減少問題を取り上げた。思いのほか反響が届いて驚いていたのだが、さらに、4月24日には人口戦略会議から2050年までの人口減少の分析結果が発表された。  この分析は、「20~39歳の女性人口」(以下、若年女性人口)の将来動向を指標化したところに特徴がある。その結果、全国1729自治体の4割にあたる744自治体で、若年女性人口が50%以上減少することが予測され、このよう

          豊かな社会の中で、家畜化する人間と人間化する機械。人と機械の未来はいかに?

          ソロ暮らし社会が、そろりそろりとやってくる

          いちばん確かな未来予測  未来を完璧に予測することは不可能だ。しかし、それら数多の未来の見方の中でも、最も確からしさの高い未来予測は何か?お気付きのとおり、「人口動態」からみる未来の姿は、かなり高い確度の未来予測だ。  WHOが発表している最新の世界の平均寿命(0歳時点での平均余命)を見ると72.5歳、また日本は世界1位の長寿国であり84.3歳である。それほどに寿命が長くなっているということは、今いる人々と、次世代として生まれる規模を推し計り易い。今後数十年間の世界の人口構

          ソロ暮らし社会が、そろりそろりとやってくる

          今の"適切"は、未来の"不適切"

          新しい年度がスタートした。今朝の電車内には、スーツ姿の若い人たちも目立っていた。「ウチの会社ってさ…」とか、「やっぱり早めに海外出たいよな」など、聞こえてくる声も、就活時代の第三者モードや忖度モードとは違う、前向きな当事者感ある声が聞こえてきて気持ちいい。満員電車内での立ち居振る舞いは早めに身につけてほしいが、会社内での立ち居振る舞い方は、今を忘れずに続けてほしいものだ。 「同級生」という同時代感覚  そんな四月始まりの時間区分の単位というのは、学校の暦がそれであるため、

          今の"適切"は、未来の"不適切"

          道具の歴史は、人間が機械にできることを機械に任せようとしてきた創造の歴史

           私は、博物館を楽しむのが好きです。博物館に並ぶものを、じぃっと見ていると、自分の中の記憶と反応して、プチプチと音を立てて反応が始まります。未来もみえてきたりします。  日本博物館協会の資料によると、総合的な施設から特定分野のコレクションまで含めて、日本国内には、4,484館(令和3年度実績)があるということです。数多の博物館の中でも、特定の分野やテーマに絞った、ある種マニアックな収蔵品を展示する館に、私はとても惹きつけらます。神戸にある竹中大工道具館は、まさにその一つです。

          道具の歴史は、人間が機械にできることを機械に任せようとしてきた創造の歴史