【第14回 ぬのっと えほん 11ぺーじめ】
第14回 ぬのっと えほん 11ぺーじめ
車窓の外はとっぷりと日が暮れて、
街並みは寒色だらけに。
隣のボックス席には、
凛とした高齢男性が独り。
手元にはお弁当と、缶入りのお酒。
口元に軽く笑みをたたえ、
嬉しそうにおかずを頬張ると、
お酒をちびり。
そして、車窓から外の景色を眺める。
また笑みと共におかずを頬張る。
故郷では大家族に囲まれ(13体家族)
ご飯を食べていたヌノット…
『おじいさん、寂しくないのかなぁ?』
ぼんやりそんな事を考えていると、
その高齢男性と目が合いました。
おじいさん『ほほほ、そんなに珍しいかな?』
ヌノット『あ、いや、なんかごめんなさい…』
おじいさん『わたしはこうして、電車で食べる食事に目が無くてねぇ。外の景色と美味しいご飯、それを肴に1杯やるのが今の楽しみなんだよ。』
『そうか…おじいさんは、独りでのご飯が楽しいんだなぁ!それにしても、美味しそうに嬉しそうに食べるおじいさんだなぁ…』
ぐる…ぎゅるるるるぅ~
乗客の少ない車両全体に、
盛大なヌノットのお腹の音!
(正確には、胃腸パーツエネルギー不足アラーム音)
おじいさん『これはこれは立派な音だ(ニコッ)わたしのお弁当を分けてもいいが、それではお若い方には足らんでしょうな…』
おじいさん『どうだろう?次の駅に降りてみては? レストラン飲食店街で有名な駅だよ。』
と、そこへ車内アナウンス。
アナウンス『次はぁー、 halfくんー(Twitter ; @Half_androgynou) まもなくぅー、halfくんー』
食事を続けるおじいさんにバイバイをして、
駅に降り立ちます。
夜ではありますが、どこも明るく、とても活気がある街です!
そして、鼻腔をくすぐる良い香りに満ち満ちています!!
『どのお店も美味しそうだなぁ…どこも良さそうで決められないよ…』
ブツブツとヌノットが独りごちていると、
一際賑やかな集団が目の前に立ち止まり、声を掛けてきました。
『それなら、全部食べちゃえばいいんだよ。』
白い髪に紫のワンポイントが印象的な人が、ゆったりとそう囁きます。
『そうじゃ!若いんだからの!』
と、大きなフクロウ?ミミズク?ちゃん。
片手にお酒を携えています。
『ずずも、そう思うんだず!』
真ん中くらいの大きさのフクロウ?ミミズク?ちゃんも賛同します。
両手に見るからに高カロリーそうなご飯を愛おしそうに抱えています。
『みみも、さんせーれす!』
1番小さなフクロウ?ミミズク?ちゃんも可愛く賛同!
スイーツを美味しそうに頬張っています。
『自己紹介が遅れたね、ぼくは、はーふくん。そして、この子たちは、つみみずく。上から順に、くく、ずず、みみ。よろしく。』
と、白い髪の人。
『よろしく!!!』と、つみみずくたち!
『この街は常連なんだ。案内させて…』
おっとりと話す、はーふくんの言葉に吸い寄せられるように、
ヌノットも
『で、でも寝る前に沢山食べちゃダメだって、ママが…』とかなんとか言いながら
仲間に加わり、夜の街へ…
はーふくん『まずはこの店。景気づけといこうか。全マシ大で行くよ。』
【注文1】背脂増し増しもやしたっぷり二郎系ラーメン
くく『くーくー(満足そうだがまだまだ行くぞ!というような鳴き声) たくさん制覇するには、緩急とチェイサーが大事じゃ! 次はこれ!』
【注文2】のり塩ポテチ ビッグバッグサイズ×各1
ずず『ずずはぁ~塩であっさりのあとは、コクが欲しいんだ ず!この店にするんだ ず!』
【注文3】納豆カツカレー温玉乗せ
ずず『若者の ずず にはまだ足らないんだ ず! コッテリの次は、あっさり!ここにするんだ ず!』
【注文4】ニンニク増し増しペペロンチーノ
ずず『シンプルなお味の次には、コッテリが欲しく…(以下略)』
【注文5】チーズandキムチマヨたっぷり牛丼
くく『チーズはお酒に合うのじゃ!もっとチーズを食べたいのじゃ!くーくー!!』
【注文6】チーズたっぷりタッカルビ
みみ『みんな、そろそろ満足れしょ?しめましゅよ!』
【注文7】キムチたっぷりキムチ鍋+〆のラーメン
〆と聴いて、お腹がタプタプのヌノットは
『お、終わりが見えてきたよ…ん?ラーメンって最初にも食べたような?』
と最早 曖昧な記憶で鍋とラーメンをすすります。
ヌノット『お腹いっぱい!!でもこの街の料理はそれでもスルスル入っちゃう!』
はーふくん『そうなんだよねー、不思議でしょー?』
くく『何度来ても飽きないわい、この街は!』
そう話す2人の手には、
たぶんアルコール度数の高い、しかも長ヒョロい(500ml)缶のお酒が沢山!!!
【注文8】アルコール強めなレモン、ダブルメロン、グレープフルーツ(全てロング缶)のお酒(※大人だけ)
みみ『ここからは、みみの出番れすよ!食後は別腹のデジャートれす!!』
ヌノット『!、!!?!!?、。(声にならない叫び)』
みみ『さぁー!腹ごなしに走りましゅよぉーーー!!!』
勝手知ったる みみを先頭に、
スイーツのお店を駆け回ります!!
【注文9】フルーツいっぱいフルーツタルト
【注文10】チーズ感つよつよレアチーズケーキ
【注文11】イチゴandクリームたっぷりショートケーキ
【注文12】あんこたっぷりパツパツたい焼き
【注文13】サイズ感大きめいちご大福
つみみずくたち『ふえぇーーーー食べた食べた!』
はーふくん『お土産の夜食も買って帰ろう。お寿司でいいかな?』
【注文14】たくさんのお寿司(大きめ桶×各1)
『みんな、まだ食べる気なんだ!すごい、すごいや!!』と、一行の食欲に驚きながら、
大好きなお寿司に期待を膨らませていると…
\ビィーーーーーーーーー!!/
\ビィーーーーーーーーー!!/
けたたましい濁ったサイレンの音!!
慌てるヌノットの顔を心配そうに覗き込む、つみみずくたち。
サイレンの音は鳴り止まず、
しまいには警告のアナウンスまで流れ出します。
\消化器官パーツ、システムエラー/
\消化器官パーツ、システムエラー/
\栄養価 異常値、栄養価 異常値/
\食物 逆流 警告、すぐさまメンテナンスを開始してください/
目を回してパニックのヌノットに、伝染してパニックの つみみずくたち!
どうやらこのアナウンスや警報は、ヌノットの体内で流れているようで、
外のみんなにはヌノットがパニックであることしかわかりません。
カオス状態のみんなを尻目に、
至って冷静な はーふくん。
じーっとヌノットの様子を見ていたかと思うと、
つか、つか、とヌノットに歩み寄り、
その頭のアンテナを手に取ると、
そこへ向けてひと声。
はーふくん『今日はチートデイです…』
ハッッ!!!!
遠のいていた意識が戻ってくると、
お腹のタプタプも、
目の前グルグルも、
体内の警告アナウンスも、
一緒に食べ回った仲間たちも、
消えていました。
『あ、あれ?!?』
一瞬 、夢かと疑いましたが、
左手には
豪華な寿司桶。
と、そこに
1枚の便箋。
『また一緒に食べよう(遊ぼう)ね。罪深メシ、最高!』
『はーふくん、くく、ずず、みみ』
ご飯って、
1人でも美味しい、嬉しい
みんなでも美味しい、嬉しい
そんなことを考えながら、
ひと昔前の深酒したサラリーマンのように、
寿司桶をブーラブーラさせながら、
今夜のお宿へと歩いていくヌノットでありました。
第15回 ぬのっと えほん 12ぺーじめ へ続く
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