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山小屋初心者にオススメの尾瀬
私がこのnoteで取り上げている「山小屋」
山の中にあって、主に山に登る人が利用する宿です。
そのため
風呂が無い、ご飯が質素、建物がボロい、相部屋、空調が無い、電波が無い
など普通の人が泊まるには、ハードルが高い山小屋も少なくありません。
ただ現在私が働いている尾瀬の山小屋は、
全国に数ある山小屋のなかでも
山小屋初心者さんにとって泊まりやすい山小屋です。
私の山小屋noteを読んでくださってる方の中で、山小屋に泊まってみようと思ってくださった方に向けて、
尾瀬の山小屋の魅力をお伝えしようとおもいます。
立地
私が働いている尾瀬は、群馬県・新潟県・福島県・栃木県の4県にまたがる本州最大の湿原です。
主な登山口は群馬県か福島県から入るのが一般的です。
湿原ですがアクセスするまでに山の中を歩くため「登山口」という表現を使用しています。
今回は首都圏からのアクセスが良い群馬県側をご紹介。
東京から新潟を繋ぐ関越自動車道の沼田インターで降りて、
国道120号線と401号線を走ること約1時間。
尾瀬の玄関口、戸倉に着きます。
山に向かう道ながら、特に狭路もカーブもなく走りやすい道です。途中に道の駅もあり休憩もできます。
少し寄り道すれば、日本で最も利用客数の多い道の駅、川場田園プラザがあります。
帰り道にお土産を買いに利用するのも良いかもしれません。
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この戸倉地区に大きな駐車場があり、シャトルバスに乗り換えて登山口の鳩待峠まで行くことができます。鳩待峠にも駐車場はありますが、駐められる台数が少ない上に時期によっては閉鎖されているため、
戸倉の駐車場に駐車するのが一般的です。
登山口の鳩待峠から湿原の入口にあたる「山ノ鼻」までは下り。高低差200mほどを階段と木道が続く道を歩いていきます。
そしてこの山ノ鼻には3件の山小屋があります。つまり登ることなく山小屋に到達することができるのです。帰りは登りですが標高差は200m。高尾山に登るよりは楽です。
コースタイムは下り1時間の登りは1時間20分。参考までに私ですと登りは40分くらいです。普段から運動されている方なら登りでも1時間かからないでしょう。
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山ノ鼻から先の山小屋も尾瀬ヶ原内であれば、ほとんど平坦な移動です。
歩くことに慣れていれば問題ありません。
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途中の登山道も雪のある時期でなければ、
ほとんど木道なので迷うことはまずありません。
スニーカーでも歩けないことはありませんが、木道が非常に滑りやすい点と、
天気が変わりやすい場所のため、
滑りにくく雨に強い靴があると便利です。
ぬかるみも多いので、お気に入りの靴は履かない方が良いでしょう。
尾瀬の関係者は長靴を履いている方が多いです。
このように登山をしたことがない方や登山を始めたばかりの人が最初に泊まる山小屋として
は非常に良い立地にあります。
お風呂
お風呂があります。山では水や燃料が貴重なためお風呂が無い山小屋も少なくありません。(かろうじてスタッフ用はありますが…)
その点、尾瀬は水が豊富なためお風呂が用意できるのです。
山小屋に泊まるとお風呂に入れないのは普通ですが、「風呂に入れないのは抵抗が…」という方には尾瀬の山小屋はちょうど良いのではないでしょうか。
また以前はシャンプーを使用できませんでしたが、コロナ禍を経て使用できる山小屋が増えました。
長年尾瀬にいる人によるとシャンプーOKになってから、湯船のお湯も少しキレイになったとか。
寝具
シーツを替えています。
普段はホテルなどを利用されている方からしたら、「何を当たり前のことを…」と言われるかもしれませんが、
一般の宿と同じシーツ替え、わ山小屋でやろうとすると、
ほとんどの山小屋には車が乗り入れられませんから、
大量の新しいリネンと使用済みのリネンを毎日貯め込み、1ヶ月に2〜3回のヘリコプター輸送で下ろさなければなりません。
量がとんでもないことになりますし、
費用も莫大です。
かと言って現地で洗濯するにも業務用の洗濯機を何台も用意するわけにもいかず、
さらには水に限りがある小屋もありますし、
干す場所も屋根の上くらいです。
というわけで普通の山小屋では、屋根の上のお布団干しとリセッシュなどで除菌するくらいしか出来ないのです。
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一方で尾瀬はヘリコプター輸送に加えて、
歩荷さんがほぼ毎日来てくださるので、
リネンを定期的に持ってきてもらったり、回収してもらうことも可能です。
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全ての尾瀬の山小屋が行っているかは定かではありませんが、
山小屋としては珍しいリネン交換が行われているのです。
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電気
一般的な山小屋ですと電線は通っていないので、軽油を燃料にした発電機を回して発電を行っています。
そのため電力をほとんど使わない夜の間は
消灯して発電機を止めてしまうのです。
最近はバッテリーで常夜灯くらいはつける山小屋が多いですが、夜間はスマホ等の充電ができないところがほとんどです。
一方で尾瀬の山の鼻エリアに関しては電線が通っているため常時電気が使えます。
お部屋のコンセントで充電できるのです。
携帯バッテリーを持ってくれば問題無いことですが、夜間も電気が使えるとなにかと安心です。
Wi-Fi
尾瀬の山小屋には”OZE GREEN WIFI”というWi-Fi があります。
そのため小屋内でネットが使えるのです。
ちなみにドコモ、auは小屋内でも電波が入ります。
ソフトバンクは尾瀬全域で圏外のため、通話などされる方は注意してください。
個室
山小屋というと部屋は相部屋となるところが多いですが、尾瀬では2名以上であれば個室を利用できるところが多数。
プライベートを確保しながら山小屋ステイを楽しむことができます。
誰かのいびきや早朝のガサゴソ音に悩まされることはないので、快適に過ごせると思います。
山小屋時間
これまで泊まりやすさを取り上げてきましたが、一つ注意点を。
下界の宿に近づけているとはいえ、山小屋は山小屋。制約もあります。
特に一般のホテルに比べて異なるのが山小屋の時間です。
夕食はだいたい17時ごろから、
朝食は6時ごろ
消灯時間も決められており、21時頃には館内の照明を落とします。
フロントも朝食時間から夕食時間の間しか空いていません。
チェックアウトは8時頃、逆にチェックインは13時くらいからの場所が多いです。
早く出発してもらって、早く着いてもらう。
早出早着のルールは尾瀬の山小屋でも同じです。
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山でのひと時
働いている身としては、下界の生活にかなり近い生活を送れています。
しかし景色は山の景色です。
夜になると街の明かりは一切見えません。
小屋の常夜灯がついている程度で、
満月であれば月の明かりが煌々と照らします。
朝は運が良ければ朝靄がかかって
幻想的な湿原を目にするかもしれません。
また天気の良い日は鳥の鳴き声で目を覚まします。
最近はツバメが忙しくチュンチュン鳴きながら飛んでいますし、
ウグイスは雨の日でもホケキョと鳴いています。
夕暮れ時〜早朝の時間は日帰りのお客様がほとんどいないため、湿原にあるベンチを独り占めできます。
自然を前にボンヤリする時間は至福の時間です。
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優雅な夕暮れ時を
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尾瀬は首都圏からであれば日帰りでも来ることができますが、
堪能するならやはり山小屋泊。
時間に縛られることなく、山や湿原での時間を過ごしてみるのはいかがでしょうか?
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