山屋、みかん狩りに行く
先日の投稿で山小屋のシーズンを終えた私ですが、下山した後の話をしばらく綴っていこうと思います。
私の所属する山小屋に限らず、他の北アルプスの山小屋も、
早いところで5月から始まって11月に終わる場所がほとんど。
通年雇用で働いている方もいますが、ほとんどのスタッフはそれ以外のシーズンにおいて、
何かしら仕事を探す必要があります。
看護師や美容師など、自身のスキルに基づいた職業に戻る方もいれば
登山用品店やスキー場など冬の仕事を持っている方もいます。
もちろん仕事をしないで旅をする、なんて方もいます。
そんな中、比較的多いのが農家バイトです。
農作業において特に人手が必要な収穫などの時期に募集されるバイトです。
山小屋やリゾートバイトと同じく、住み込みで一定期間働きます。
特に山小屋関係者で度々耳にするのが、
山小屋→みかん農家→サトウキビ農家の流れ。
みかん、サトウキビは何れも作物の収穫とその選果や製糖の仕事です。
全工程の中での特に人手が必要になる作業の手伝いといったところです。
そしてなぜこの流れをよく聞くか、というと時期が良いためです。
みかんはちょうど山小屋が終わった11月から収穫が始まって、クリスマス前に終わります。
そのあと沖縄でサトウキビの収穫が始まって、終わる頃には次のシーズンが始まるという
綺麗な1年のルーティンが組めるのです。
ちなみに私は冬は寒い所で過ごしたほうが体に合うので、
沖縄には行かずに、みかん農家の仕事だけここ2年ほど行っています。
この仕事を知ったきっかけは隣の山小屋の知り合いであり、
北海道のゲストハウスで一緒に働いた方からお誘いを受けたことです。
最初にそのお誘いを受けた際はやむなく断ったのですが、
その後に旅館で働いていた時の同僚も、
偶然にも以前お誘いを受けた方と同じ地域で働いており、その方の紹介という形でみかん収穫に行くことになりました。
元々、学生の頃は農業に携わる、なんて少しも考えたことはありませんでしたが、
宿泊業で働いていると、おそらく一般の人以上に「食」が身近な存在になります。
実際に調理はしなくても、どこのどんな食材なのか、どういった特徴があるのか、どのような調理法で作られているのか、など
お客様に伝える必要があるためおのずと勉強する機会が増えます。
そんな「食」を伝える立場にあって、
その食材を作っている農家さんって、どんな仕事をされているのだろうか、
どんな暮らしなんだろうか、
食物を作っている人の気持ちになってみたい、
ということで農家でアルバイトをすることにしたのです。
みかんの産地は全国にありますが、私が行ったのは愛媛県の八幡浜市。
県庁所在地がある松山市から南に向かって車で1時間30分ほど。
港からは九州へのフェリーが出ていたり、
海沿いでは漁船も頻繁に見かけます。
また町の周辺に見える山にはみかんの木がズラリ。
まさにみかんと魚の町です。
今後はしばらくそんな八幡浜での仕事や暮らしに関して、時々異なるジャンルの記事を挟みながら書いていこうと思います。
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