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山の世界って狭い

登山をする人であれば経験したことがあるかもしれませんが、山小屋などで仲良くなった方と別の山で再会するという話をよく聞きます。

それはSNSとかで事前に知っていた、とかではなく本当に偶然にです。

私も大学から登山を始めて以降、何度となくそのようなことがありました。


学生時代、私の所属していた団体と交流のあった他大学のワンゲル部には頻繁に山で出くわしていました。北アルプスだったり八ヶ岳であったり。「また会ったね」っていうくらいよく会います。交流はありませんでしたが早稲田のとある団体に関しては毎年のように出くわしていました。


またある時は入山前に関わっていた水泳大会の関係者に、南アルプスの甲斐駒ヶ岳の山頂でばったり会ったこともあります。当人が登山やっているのは知らなかったですし、声をかけられて初めて気が付きました。比較的メジャーな山ですがまさか山頂で会うとは。


大学の部活ですと、活動する日が授業や休みの関係で似通ってきますし、あまりマイナーな山域に入ることもないので、比較的会いやすい条件にはなってくるのですが、そうは言っても数ある山域の中で、同じ日に同じ場所にいるってかなりの低確率ではないでしょうか。


社会人になってからも福井県の荒島岳で、働いていた系列小屋のスタッフ(関西の方)に会って一緒に登ることになったり、

上高地に行った時に帰りのバスで私が勤める小屋の支配人に会ったり。(ちょうど小屋締めが終わって余暇で登山に来ていたようです)


そして次が私の中でも忘れられないエピソードなのですが、

九州の九重山に登りにいった時に、山小屋の元同僚スタッフが北海道から来ていました。

この同僚スタッフは公務員を辞めてチャリで日本縦断した後に北海道でゲストハウスを開業した、というチャレンジングな経験をお持ちの方。

初めて山小屋でお会いしたのはまだ彼がチャリ旅の途中で、1カ月だけ山小屋に寄り道して働いていた時でした。お会いした、と言いますか一緒のベッドで寝ていました。

少し脱線しますが、私の寝床は2段ベッド(カイコ部屋なんて呼ばれます)の2段目で畳2.5枚分のスペースがあり、

ここに2人寝ていました。布団を敷いても一部が重なり、寝ている最中に手を伸ばせばぶつかるくらいのスペースです。

そんな仲なのですが私が会社に就職して以降はお会いすることもありませんでした。


そんな会社員時代に休暇で九重山に登りに行った時、ちょうど会社を辞めることを決めていた時のことでした。フリーターになるということを目前にしていたので、彼の公務員を辞めてゲストハウスという全く異なる仕事に転身した話を聞きたいな、なんてぼんやり思っていたのです。

それがまさか九州の山の中で会えるなんて思いもしませんでした。

偶然というか、もはや導かれてるのかな、と感じるくらいの出来事でした。

さらに宿泊先の法華院温泉山荘には、これまた系列で働いていた山小屋のスタッフがいるという偶然。

もう一生忘れられないエピソードの一つです。


どのエピソードも再会するのは山の中で、数本しかない登山道、山頂という目的地は一緒、悪天候を極力避けた日程調整をするので、街中で会うよりかは出会う確率は上がります。

ただ明らかに居住地が異なる人と数ある山の中でその日に会うって、何か不思議な力が働いているようにしか思えません。

そんな偶然の出会いも山を登る楽しみの一つなのかもしれません。


つの



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