見出し画像

共感覚のある世界 私には人の名前がアート作品に見える


 
私は「共感覚」とともに暮らしています。


共感覚とは、文字に色がついて見えたり、音を聞くと色が見えたり、味や匂いに形が見えたりするなど、通常の感覚に加えて別の感覚が自動的に生じる現象です。

共感覚を持っている人の確率は10万に一人、2000人に一人、200人に一人など様々な説があります。

また、発達障害のある人は一般の人に比べて、共感覚を持っている割合が高いとの調査報告もあります。

 

私にとっては、小さな頃から共感覚のある世界が当たり前でした。

しかし小学校に入学してしばらく経ったころでしょうか、どうやら私の見えている世界は他の人には見えていないらしいと気づき始めました。

私は周囲から訝しがられないよう、自分にしか見えていないものを口に出さないようにして過ごしてきました。


「共感覚」というワードに出会ったのは20代半ばのときです。

私の感覚には名前があったんだ、自分だけじゃなく一定の確率でそういう感覚を持っている人がいるのだということを知り、ほっとしました。

それからは「この人だったらフラットに聞いてくれるかな」と思える相手に対しては、機会があれば共感覚のことを話すこともありました。

 

 

私の場合、顕著なのは、文字に色がともなう「色字共感覚」です。

例えは、「ま」は濃く鮮やかな青色、「つ」はオーソドックスな黄色、というように一つ一つの文字に色が伴って見えるのです。

 

文字によっては一色のみならず、複数の色が重なっている字もあります。



例えば「林」という字には、こんなふうに見えています。 

 ↓


 

色だけではなく、質感を伴う字も多くあります。

・  薄い・厚い
・  光沢感 
・  葉っぱのような感触
・  セロファン紙なような感触
・  油絵の具のようなコッテリ感
・  ファンデーションのような粉っぽさ
・  土っぽく湿った感触

などの質感が字に伴って見えるのです。

 

 

私にとっては、人の名前はもはやコラージュ作品に見えるのです。

 

 

同じ字でも、字の配置場所によっても色の発色の割合が異なります。

 

例えば
「田中」という苗字は、私にはこんなふうに見えています。

 ↓

 



一方「中田」という苗字は私にはこんなふうに見えています。  

 ↓



どちらも使用している字は同じだけど、微妙に違ったコラージュ作品になります。

 


同姓同名ではない限り、一つとして同じコラージュ作品はありません。

 

子供の頃は、人名辞典や赤ちゃんの名前ランキングなるものを「鑑賞」しては楽しんでいました。
今でも人の名前を見るのは楽しいです。

 


 

共感覚は、普段は邪魔になることが多いです。


 


まず視覚情報が過多になりやすく疲れます。

また共感覚によって見えたものから、余計なことを想起して気が散りやすくもあります。


例えば、私には「24」という数字がこのように見えています。

 ↓


この色合いから桜の花を想起してしまうため「花見に行きたいな」とか「桜餅食べたいな」とか余計なことを考えます。



 

また「204」という数字はこのように見えます。 

 ↓


この色合いから三色団子を連想して、「お団子食べたいな、帰りスーパーで買おうかな」など余計なことを考えます。

 



地下鉄の路線図が見辛いこともあります。

例えば大阪メトロ。

私にとっては谷町線は全体的に茶色ですが、紫表記されています。
私にとっては堺筋線は全体的に黄色〜黄緑っぽい配色ですが、茶色表記されています。

そうなると、谷町線を探すときについ堺筋線を見てしまう、堺筋線を探すときに長堀鶴見緑地線を見てしまう、といったバグが起こりやすいです。


 

でもこの共感覚がプラスに働いたこともありました。

 
私の友人にA氏という人がいます。

結婚を機に苗字が変わったA氏は、新しい名前が姓名判断的に悪いねん、、と微妙な表情で話していました。

でも私にとっては、A氏の新しい名前はとても素敵に見えたのです。

   

過去のLINE履歴を検索したら、A氏の新しい名前の色合いを再現したものが出てきたので貼ります。

 ↓


色鉛筆で描いたので質感まで再現できていないのが残念ですが、全体的に瑞々しい質感です。
水彩絵の具を、水の割合をかなり多めで溶かしたような、いわさきちひろのイラストのようなシアー感があります。

配色的にも、春の公園のお花畑を想起されるふわっと柔らかな色が中心。
小柄で可愛らしく、春の野に咲く花のような雰囲気を持っているA氏にはピッタリだと、私はトキメキを感じていました。


それをA氏に伝えたところ喜んでもらえて私は嬉しく思ったのでした。


共感覚のお話おしまい。