コント「彼女の紹介」
大学生の男女
場所は男の家の設定。男女ともう一人(配役なし)が机を囲むように座っている。
男:なんかかしこまった雰囲気になっちゃったけど、先輩と彼女に会ってほしくって。まず、こちらが今付き合っている彼女のゆみです。サークルの同期で知り合って、付き合うようになりました。
女:初めまして。たくやさんとお付き合いしているゆみです。
男:(小声で女に向かって)「よろしくお願いします」って。
女:よ、よろしくお願いします...
男:で、こちらがケンさん。もう5年ぐらいお世話になってる先輩。
男女:……
男:ごめんね、ゆみさん。ケンさん結構人見知りで、初対面の人と会うと、黙っちゃうか、キャンキャン吠えるか、の二択なんだよね
女:そうだよね!犬だよね!たくやも犬って思ってるよね!
男:どうしたんだよ急に。すみません、ケンさん。ゆみが急に大声出しちゃって。
女:びっくりしたのよ。「会わせたいお世話になった先輩がいる」って言うからちょっと緊張して来たのに、会ってみたら犬なんだから。
男:なんてこと言うんだよ。ケンさんは僕が15歳のころから一緒に暮らしてて実際お世話になってるんだから。
女:完全に高校の先輩の言い方だったのよ。「地元の時に遊びを教えてくれた」とか
男:散歩のときのボール投げね
女:「つらい時に励ましてくれた」とか
男:気晴らしの散歩に付き合ってくれてね
女:「人生を変えてくれた」とか
男:散歩が楽しくてね
女:全部散歩じゃない!ケンはいつでも運動したいだけ。
男:ケン「さん」な。
女:それも気になってたの!なんで飼ってるペットにさん付けでしかも敬語のなのよ
男:そりゃケンさんは5歳だから人間で言うともう36歳。そりゃさん付けで敬語になるだろ。
女:5歳は5歳!初めて見たわ。「人間で言うと」に合わせて敬語使う人!
男:体育会系出身だからしょうがないよ。
女:そういう問題?そもそも「人間で言うと」なら、飼い始めた時は年下だったんじゃないの?
男:そうだね。すぐに追い抜かれちゃったけど。
女:敬語はいつからなのよ
男:4年前の5月31日に追い抜かされた瞬間から
女:律儀ねぇ。たくやが上下関係しっかりしてるのはわかったけど、もう少し世間の常識に合わせて...
(男がクラッカーを鳴らす)
男:ゆみさん、お誕生日おめでとうございまーす!素敵な一年にしてくださいね!
女:なんで急に敬語なの...?
男:ゆみさんがちょうど今誕生日を迎えて年上になったからじゃないですか!
女:律儀ねぇ。