ショートネタ「青春の思い出」
空と海の境目がわからないほど遠くで重なる青と青。
この景色、君にも見てほしい。
僕は振り返って君のことを呼ぶ。
「おーい!こっちおいでー!」
『なーにー?聞こえなーい!』
「こっち来てって言ってんのー!海がめちゃくちゃきれいだよー!」
『ごめーん!聞こえなーい!』
「ほーら!手振ってるんだからわかるでしょー!こっちに来なよー!」
『聞!こ!え!な!い!』
しょうがないから彼女のケータイの番号を打ち込む。
「もしもし?こっち来なよ。絶景だよ!」
『もしもし?もしもーし!電波悪くない?』
こうなったら僕が迎えに行けばいい。
彼女の元に僕は歩いて向かった。
「海がきれいだから一緒に観に行こう」
『えっ?何か耳がキンキンする。なにその声?」
7月25日は、僕の声がモスキート音になった日。