その分岐ルート、誰も入ったことがない(コント紹介『松ノ門』ザ・マミィ)
僕が小さいころ見てきたお笑い番組は、笑いの金メダルや、エンタの神様、レッドカーペットなどだった。その時の面白いコントには面白いキャラクターが必須だった。特徴的な強いキャラがいて、強いキャラを中心に笑いが起こっていたと思う。
しかし、その裏側で着々とラーメンズ、バナナマン、東京03といったようなキャラクターありきではなく、登場人物の言動で設定や状況の面白さを伝える「演劇コント」が着々と発展していた。
こういった「演劇コント」の系譜は今の若手芸人に続いていて、今回紹介するのも同じ系譜のコント師です。
それではお楽しみください。ザ・マミィで『松ノ門』。
「亡くなった霊を自分で撃ち抜くため霊媒師を利用する人」、そういえば見たことがない。
霊媒師のいる空間には基本的に善人が登場していて、たまに霊媒師が嘘をついているというストーリーは見たことがある。
お互い「死者の霊は存在している」という心霊関係を信じない人からしたらトンデモ前提を認めた者同士である。だから霊媒師と利用客の間には「証明も反証も不可能。信じたいから信じる。」という暗黙の了承がある。霊媒師の嘘を取り上げるときには、この暗黙の了承がどう崩れていくかというパターンになる。
今回の『松ノ門』で特徴的なのは、登場人物二人とも「松ノ門の霊媒能力には絶対の信頼を置いている」という点である。先ほどの「証明も反証も不可能。信じたいから信じる。」という暗黙の了承が1mmも崩れることも揺らぐこともなくストーリーが突き進んでいく。
大きいストーリーの分岐を一つ無視することで、その先にある見たことない分岐ルートを見れた面白いコントでした。
設定の分岐ルートの見つけ方はもちろんだが、霊媒師・松ノ門役の酒井さんのセリフのパンチラインが最高である。松ノ門が「松ノ門」と言うだけで面白い。キャラがハマっている酒井さんもすごいし、この状況を作っている林田さんもすごい。
「松ノ門」
「松ノ門ごと行こうとしてた!?」
「そういうときの松ノ門」
文字の上だと全然伝わらないんだから、演じ方がすごいんだよなぁ。演技については経験も知識も何一つないので詳しい人がいたら聞いてみたい。
お楽しみいただいたのは、ザ・マミィで『松ノ門』でした。
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