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第5回「食べる」を取り戻す

プルドポーク

プルドポークという食べ物を知っているだろうか。
プルがむしるという意味なので、直訳するとむしった豚肉。

豚肉の塊肉を低温で加熱し、中までじっくり火を通したらフォークなどでほろほろにほぐし、ソースなどであえて食べる。
もともとがアメリカ大陸のバーベキュー料理で、スモークして作ることが多いらしい。日本ではタコスやサンドイッチの具として使われているのを見かける。

塊肉をまるごと燻してほぐして食べると聞くと、いかにもアメリカ大陸的な豪快料理だが、脂っこくなくておいしいのだ。

いつから日本でも食べられるようになってきたのかかはわからないが、僕はここ数年、東京に出てきてから見かけるようになった。

先日、とある山手線の駅前を昼飯を探して歩いていると、カレー屋の日替わりが「プルドポークカレー」とあった。
これは食べなければと入店し、注文するとドーム状に盛った白いごはんの上にプルドポークを乗せ、その上からカレーをかけたものが出てきてこれが実にうまかった。
プルドポークはカレールーによく絡み、とにかくごはんが進む。

考えてみれば非常に凝った料理だ。
ポークカレーを作る時は豚肉を他の具材と一緒に煮込んで作るが、わざわざプルドポークを作った上でそれを最後に合体させるなんて。

そういえば、学生時代にもプルドポークに近い料理を食べたことがある。
茨城県県南部の中華好きには知らぬ人のいない中華料理チェーン店、百香亭の黒酢酢豚だ。
握りこぶし大の黒く丸い肉塊がゴロゴロと皿に乗って提供され、フォークでほぐして食べる。
学生の間ではその見た目からGANTZ玉と呼ばれていた。
黒酢ソースの酸味が程よく、ほぐれた豚肉の繊維とよく絡む。外側はカリッとした殻のようになっていてこれもまた美味い。

ひさしぶりに食べに行こうか、GANTZ玉。