第7回「食べる」を取り戻す

なしのはなし

梨が美味しい季節になりました

僕の地元は梨の産地でもあるから、実家にいたときは、秋になると買ったり貰ったりして家にたくさん梨があった。

大好物で暇さえあればシャクシャクとその食感と味、さわやかな香りを楽しんでいた。

しかし、そんなにしょっちゅう食べていたのに、「今まで食べた梨で一番美味しいのは?」と聞かれたら、実家を出てから、東京でひとり暮らしをはじめてから食べた梨を挙げるだろう。

大学時代の友人からある日連絡が来た。
「梨は好き?」

すきすき、ちょー好きである。

そう答えると、実家から大量に梨を送ってもらうから分けてくれるという。
そう、彼の実家は鳥取にある。

鳥取といえば二十世紀梨の産地として有名だ。
しばらくすると立派な箱に入った大ぶりの梨が届いた。

これが信じられないくらい美味い梨で、皮を剥くのももったいなく感じて皮ごと丸齧りで食べた。
かじったそばから果汁が溢れ出てきて俺はこんこんと湧き出る泉を食べているのかと思ったほどだ。

高級な二十世紀梨はそうそう手に入るものではない。

さて、今、冷蔵庫にはあきづきという品種の梨がごろごろと入っている。つい先日、新潟に旅行に行った際、朝市を訪れそこで買い込んだのだ。
カゴに盛られたそれはみるからにみずみずしくうまそうであった。

毎日食べているので、また買ってこなくっちゃ。
梨の旬はあっという間だ。