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ぼくは桜の樹の下の死体になる、

 満開のさくらを見に行った。
喜んで見ている恋人を横目に、早く散らないかなと思っていた。そして、向日葵も嫌いだ。タネの集合した感じ、あれが明るさの象徴なのが気持ち悪い。隣室の住人が育てている向日葵が枯れていくのを楽しみに見ていた。9月になっても、中々枯れずジリジリと夏が通り過ぎるのを待っていた。晩夏は長すぎると思う。花は嫌いだ。いや、バラだけが好きだ。棘があるところだけがいいと思う。花弁を剥がして彼らの尊厳を奪ってゆくのも好き。まあとにかく花の全てが羨ましくて、咲いてるときの華やかさも、散り際を惜しいとこちら側に感じさせるところも癪だ。今も、道端の野花を睨みつけ歩いている。

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