言葉
宇佐美りんさんの『推し燃ゆ』の中での自室のベッドの様子だった。確か”寝起きするだけでシーツに皺が寄るように、生きているだけで皺寄せがくる”という描写。生活に身近に存在しているものと生活のなかの憂鬱をかけ合わせている表現が薄ぼんやりと脳内に浮かび上がってくる秀逸な一文。
一日中寝てばかり過ごしたベッドのシーツは白い波のように皺がうねっている。私はコップの水を口に含んだあと、またその波に揺られ眠る。身体が怠く眠くて仕方ないとき、私は迷わず寝てしまう。寝て、憂鬱が消えなかったらまた寝て、クラッカーを齧り、小説をぱらぱらと読んで、また寝る。そんなことをしていると1週間なんてすぐに過ぎてしまう。冬が終わる。
そういえば、糸に冬で『終わる』なんだ。
言葉ってすごい。捉えている。