「スタバのコーヒー豆ってよく変わるんだよ。それが当たりの時と,はずれの時があって。」 蔦屋書店のスタバは混雑していて,オーダーしてから受け取るまで,結構時間があった。 コーヒーが体質的に飲めない私は,彼がコーヒーをよく飲むと知って,マスクの下で口をへの字に曲げた。 「ケーキの中だったら何が好き?」 彼の言葉に,さっき美味しそうだねって話したチーズケーキを思い出す。 「うーん,チーズケーキもすごく好きだけど,やっぱ一番はチョコケーキかな」 「えー?チョコー?,,,一
なんで男って簡単に結婚したいなんて言うんだろうね。 以前そんなことを友人と話した。 「結婚しよ」 付き合って1ヶ月も経たない時,急に彼の口からそんな言葉が飛び出して,いくら抱きしめている間とはいえ,私はとても驚いた。 それからかれこれ1年経った。 お互いの沸点とか,価値観のあり方とかも見えてきた。 「〇〇とは結婚できないかもな」 また突然,彼はそんなことを少し笑いながら言った。 私はまた驚いた。 昔の彼の一言をきっかけに,私はコイツと結婚するのか?しないのか?
初めて彼に会った時,なぜか懐かしさを感じた。この人のことをずっと探していたんだと気づいた。そんなこと考えたことなかったのに。 偶然が重なった。同じ日にお弁当を忘れて,同じ日に同じような服を着てた。同じバンドが好きで,話が止まらなかった。もう思い出さないようにしているけど,反射でもこれくらいは書ける。まあ普通か。 彼の声は少し鼻にかかっていて,一般的に言う低くて落ち着く声とは遠いけど,それでも彼の声に私はなぜか安心してしまった。 他人の匂いが苦手なのに,彼の匂いを感じた時
私は苦しめられている。青春コンプレックスに。こんなに可愛い女の子が。こんなふうに苦しんでいる。 田村真佑とか池田瑛紗とか守屋麗奈とか,青春時代の恋愛経験なさそうな推したちを見て元気を出している。 もう付き合っちゃえよ〜って言われる関係を続けていたり, そこ付き合ってんの?って聞かれるまでをゴールにしたり 2人でご飯行ったり一緒に帰ったり塾の隣の席で手紙をやり取りしたり, ほら,ちゃんと青春してるじゃん,美味しいところだけ食べるために誰とも付き合わなかったんじゃん。
「なぜ 恋をして来なかったんだろう?」 という櫻坂46の歌を知っているだろうか。 大学生になって,恋人ができた。人生初めての彼氏は大学2年のときだった。今は2人目の彼氏と付き合っている。 私は今まで共学の中高に通いながら,誰とも付き合ってこなかった。付き合う意味がわからなかった。 けど,今,なんで誰とも付き合ってこなかったんだろう。なぜ恋をしてこなかったんだろう,と思っている。 それは彼氏の過去とか,友達の高校時代の恋愛とかを聞いていて思う。 自分では当時誰とも付
どこかにはあるんだろうと思っていた。 元カノとの何かが。 彼と私と元カノは出身高校が同じ。元カノとは話したことがないけれど,高校内のミスコンで優勝していたから知っている。 そんな子と付き合えたら,あいつは絶対に捨てられないはずだ。 あいつに捨てられるわけがない。 だから私はつい探してしまった。 私と彼は4月に付き合った。5月に私の過去が結構バレて,ラインとか写真とか色々消した。けれど消したら消したで脳内に濃く焼きついてしまった。 私のは色々知っているくせに,私は
「なんで泣いてるの」 小さい子をあやすときの様な甘い声で彼は言った。 きっと私がまた,何かに急に不安になったとでも思ったのだろう。 でも,その質問に答えたら,私たちは終わってしまう。 だから私は黙ったままお湯に顔をつけた。 特に何かあったわけではない。いや,正確には細かいことがたくさんあるのだ。 別れたいと思ってしまうことがある。 今日もちょっとしたことで, 彼が13時にはお風呂に入りたいと言って,私はさっとシャワーを浴びて早く大学に行きたかったのに,彼がそう
本当に好きなのは,なんて話しはじめてしまったら, 今に嘘をついているみたいになってしまうから あの人に可愛いも好きも言われていない だから確信なんかしちゃダメなんだけど でも僕たちはわかってしまったんだと思う 互いが互いを忘れられず でも何も起きていない 抱き合った キスもした 無視もした 好きだった そして今も好きなんだと思う。 手のひらをお皿にして俯いて気づいたら,手から涙が溢れていた。 なんだか最果タヒの詩が読みたくなって, そうしてまた,あの人にたどり着
電車に飛び乗るとある男の子と目が合った。岡田健史みたいな力強く通った鼻,少し焼けた肌,凛々しげな瞳。 一目惚れだった。 ドアのすぐそばの角に立っていた。 電車のドアが閉まり私が立ち位置を決めると,彼は少しだけ体の向きをこちらに向けた。 その些細な仕草だけで胸が高鳴った。 横目で見る彼はきっと少しシャイで,多くはないが友達に恵まれ,きっと時々静かに本を読むのだろうと思った。 いや,もしかしたら休みは友達とサッカーしたり遊びに行ったりするアウトドアなタイプかもしれない
いくら考え方が似ている友人でも,違うところがあるものだ。 「もっと遅く出会っていたらって思わない?」 いつどこで出会っても結論は同じ派の私は,彼女の言葉を否定した。でも,ほんの少しだけ,確かにって思った。 いや,もしも遅く出会っていたってきっと,いや,結婚していたのかな,でもきっと彼とは同じ地元だから出会えたのだ。 彼と同じ布団に入るとき, 「いつ出会ったって結末はいつも同じだと思う」 と言うと,彼は「そう思う」とだけ言った。私たちは似てるのではない。同じなのだ。
嫌なところがない人なんていない。私は私のことを好きでいることをやめられないけれど,それを上回る嫌なところで押し潰されそうになるときもある。 だから君のことを嫌になったなんて言う権利もないし,君の良いところは好きだけど嫌なところは嫌いだと言って突き放すのは,非常につまらないことだと思う。 でも,正直に言うと,君のことをどうしても好きになれないでいる。みんなそうなのかもだけど,目で追ってしまう人と,好きな人は違う。もっと言うと,好きだから目で追うんじゃなく,見たいから追うので
そばの人にみつかっちゃったから全部記事消したし,今後名前もアドレスも何度も変えますが書きます私は
性格を16種類に分類するmbti。ENFPは一番の浮気性らしい。 それでよかった。まだ。する側でよかった。なんて思ってしまう。 どうしても譲れないものがあるならば,ずっと掴んでいられるだろうか。 掴まれると逃げたくなる。縛られると破りたくなる。誓われると投げ出したくなる。 でも他に好きな人なんていないから。あの人以外にいないから。 4,5年越しに取り付けたあの人との口約束を破ったのは私。だからあの人を想って泣くなんて,そんなことする資格はない。だけど,泣く資格なんてないか
夜行秘密を読み終わると同時に,微かにバイブ音が響いた。 やけに小説めいた表現になってしまうこと,つい1分前まで本の中にいたから許してほしい。 カツセマサヒコという名前は,どこかでみたことがあったが,特段意識したことはなかった。ある小説の作者であると知るまでは。 ** あの夜私は彼と二人で,音楽や小説の話をしていた。 あのバンドいいよね,と既に互いが知っていそうなバンドを一通り挙げ終わった頃だった。私は少し格好つけたくなった。 「キリンジって,知ってる?キリンジの,エ