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【出汁にもなる?!】 秋冬に嬉しい、ホットの水出し茶

冷え込む日が続き、ホットドリンクが嬉しい季節になりました。アイスティーもガブガブ飲めて美味しいのですが、今は急須で飲む温かいお茶が格別です。なるべく身体を冷やさず過ごしたいですよね。

一般的に、お茶は低温で抽出するほど甘みや「うま味」を引き出せ、高温で抽出するほど渋みや苦味が出ます。
そのため、冷たい水にティーバッグを漬けておくだけで完成する水出し茶は、甘みやうま味を味わいやすい飲み方です。抽出時間が長くなっても渋みが出づらいため、作り置きしておけるのも嬉しいポイント。

この水出し茶、抽出した後に温めて飲んでも美味しいのをご存知でしょうか?

そのまま温かいお茶として飲むのはもちろん、低温抽出によって引き出したうま味を活かして、出汁の割り材として使うこともできます。
おでんやうどん、お雑煮など、出汁を使った料理が多くなるこれからの時期に重宝すること間違いありません!

お茶出汁を使ったレシピも、電子レンジを使った簡単な方法も合わせてご紹介しています。ぜひ気になる項目からご覧ください!

水出し茶を温めて飲むメリットは?

ボトルに水とティーバッグを入れて半日〜一晩置いたものを、耐熱のカップに注ぎ、電子レンジで温めるだけです。(水出しはお湯よりも味が出づらいため、お湯で淹れる時よりも茶葉の量を増やす、または水の量を減らすなどしてご調整ください。)
直火可能の急須や鉄瓶、ヤカンをお持ちの方は、水出し茶を移し替えて火にかけても大丈夫です!

耐熱ガラスのコップや急須は匂いがつきづらく便利です。

水出し茶を温めて飲むメリット
 1:急須がなくても温かいお茶が飲める
 2:一気にまとめて作りおきして飲みたい分だけ少しずつ温めて飲める
 3:熱しすぎても渋くなることがない(あらゆるお茶をお好みの温度で飲むことができる)

3番に関して、茶葉によっては高温で淹れると渋みが強く出るお茶もありますが、水出しで抽出してからであれば、そこから高温に熱しても渋みや苦味の少ない(ほぼ水出しのときと同じ風味の)お茶になります。アツアツでも渋くないお茶が飲める飲み方ともいえます。

もちろん、茶葉やティーバッグも一緒に加熱してしまうと、お湯で淹れた場合と同様に苦味や渋みが出てきます。茶葉は取り除いて、お茶だけを加熱してくださいね。


お茶が出汁になるってどういうこと?

出汁のうま味成分は主にアミノ酸で、主要なものはグルタミン酸、イノシン酸、グアニル酸の3つです。実は緑茶にはグルタミン酸の一種のテアニンを筆頭に、複数のアミノ酸が含まれています

緑茶を低温で淹れるとこのテアニンの抽出量が多くなり、うま味を感じます。緑茶の中でも、玉露や煎茶、抹茶に次いでグルタミン酸の量が多いのが釜炒り茶(その次がウーロン茶、番茶と続きます)。そこで今回は特選釜炒り煎茶を出汁にしていきます。

アミノ酸は種類の違うものと組み合わせると相乗効果が期待できます。そのため、緑茶(グルタミン酸)と鰹節(イノシン酸)、緑茶と干し椎茸(グアニル酸)といった組み合わせで合わせ出汁にするのがベストです!

グルタミン酸:昆布、トマト、セロリ、玉ねぎ、長ネギ、生姜
イノシン酸:鰹節、煮干しなどの魚や肉といった動物系の食材
グアニル酸:干し椎茸(生の椎茸にはあまり含まれていません)等

特定非営利活動法人 うま味インフォメーションセンター「うま味の基本情報」

お茶活用①市販の出汁を希釈する

お茶の合わせ出汁を作る一番簡単な方法は、水の代わりにお茶で出汁を希釈すること!
市販の白だしや顆粒だしをお水やお湯で割っていると思いますが、それを水出しのお茶で割ってみましょう。

鍋に出汁と水出し茶を入れて火にかけてもいいですし、お碗に出汁とお茶を入れて電子レンジで加熱してもOKです。白だしや顆粒だしの塩分で味付けが完成するのも楽なポイントです!


お茶活用②だし汁や「水出しの出汁」と混ぜる

顆粒だしなどは使わず、鰹節や煮干しなどから出汁を取っている方も、ぜひお茶と混ぜて合わせ出汁を作ってみてください。だし汁に水出し茶(茶葉を取り除いたもの)を加え、鍋や電子レンジで加熱するだけです。

昆布とお茶は両方グルタミン酸を含みます。

昆布や干し椎茸など水で一晩戻した方が味が出る食材は、お茶のように「水出し」で出汁を取れます。実はこの「水出しの出汁」は、鰹節や香味野菜など、アミノ酸を含む食材を水に漬けておくだけで完成します。

煮出して作る出汁よりも圧倒的に簡単なので、水出しのお茶と一緒に「水出しの出汁」を常備しておけば、合わせ出汁が手軽に作れます
水出しの出汁を作る際は、ひとつまみの塩と砂糖も加えておくとよいようです!(詳しくは記事末尾に記載の参考文献をご覧ください。)

見づらいですが、ティーバッグも入ってます!

↑実験的に、煮干しとティーバッグを一緒に水出しにしたものも作ってみました。お茶よりも出汁の味のほうが強く、出汁として使いまわせそうです!

アレンジ①:急須で代用!土瓶蒸し

土瓶蒸しは、きのこや魚などを蒸して、具材の味を出汁に移して飲む料理です。具よりも出汁を楽しむ料理のため、注ぎやすい土瓶で供されるのも納得です。もちろん蓋つきの鍋で作っても、お吸い物のように味わえます!

※急須と違い、土瓶は「①取っ手と本体が別の素材のため加熱しても持てる」「②直火可能」「③茶器ではなく食器の一種である」等の違いがあります(もちろん茶器としても使えます!)。今回は直火可能でなガラス製の急須で作りました。

空焚きや強火での加熱、および急冷は避けてください!

🍃材料(土瓶・急須1つ分)
 ・椎茸、しめじ、エリンギなどのきのこ類:1/4パック前後(出汁に浸かる程度)
 ・水出し茶:50ml
 ・だし汁:50ml(希釈タイプの出汁の場合は、お茶と出汁が合計100mlになるよう濃さを調整してください。しょうゆと塩は加えなくて大丈夫です)
 ・しょうゆ:小さじ1/2
 ・塩:小さじ1/2程度(お好みで増減してください)
 ・カボス:1/4個
 ・三つ葉、小ネギなどの薬味:お好みで

1:きのこ類は薄切りまたは細かく割いておきます。
2:材料を全て土瓶や鍋に入れて蓋をして、中火でひと煮立ちさせます。
3:きのこに火が通ったら、薬味を加えて完成です。カボスはまだ加えず、別添えにします。

まずおちょこで出汁を味わい、具もおちょこに取り出していただきます。カボスは急須ではなく、おちょこのほうに絞ります。

サイズの合うおちょこやカップがあれば、急須に載せてもいいですね

アレンジ②:お茶出汁のお茶漬け

お茶と出汁といえば、お茶漬けは外せません!水出し茶と「水だしの出汁」を混ぜて電子レンジで加熱して、即席の合わせ出汁を作るのもオススメです。

アレンジ①の土瓶蒸しをご飯にかけてお茶漬けにする、という合わせ技も!

↓お茶漬けの具に関しては以下の記事もご参照ください。

シンプルに温かいうどんのつゆにしてもいいですね!

秋冬に活躍するホット水出し茶

作り置きができ、甘みやうま味が強いといった水出し茶の長所を残しながら、ホットでも楽しめる水出し茶。まとめて作っておけば、合わせ出汁としても希釈だしの割り材としても使えて無駄がありません。

特に水出し茶は苦味や渋みが少ないため、合わせ出汁にした際はお茶の存在感や味を感じづらく、鰹節や煮干しなどお茶以外の出汁の味を強く感じます。そのため、出汁としての水出し茶は、食材同士の味の干渉を気にせず使いやすいですよ!

みりんや料理酒を加えて味付けを濃くすれば、おでんの出汁にも!

↓水出しに使える市販のティーボトルは、以下の記事でご紹介しています。中には飲み切りサイズの小さいボトルも。いずれも茶こしがついているので、鰹節などで水だしの出汁を作るときにもティーボトルは活躍します!

もちろん、お湯で一杯ずつ淹れるお茶も、渋みやコクなどお茶らしい味わいが楽しめます。同じ茶葉でも、水出しとお湯では違うお茶のように味わえるのが嬉しいですね。気分によってどちらもお楽しみください!

参考文献(※これらの文献にはお茶に関する記述はありません)
武蔵裕子『「水だし」さえあれば和食はかんたん!』(主婦の友社)
武蔵裕子『ラクしてちゃんと!「水だし」&「野菜水だし」』(主婦の友社)
特定非営利活動法人 うま味インフォメーションセンター「うま味の基本情報」

W:矢島愛子

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