金継ぎって?始める前に知って欲しいこと
みなさん、こんにちは。
金継ぎを始める前に、そもそも金継ぎって何なのか、漆って何なのか知らない方が多いと思います。私自身も、興味を持つまで金継ぎを知りませんでした。知らない人も、何となく知っている人もこれをきっかけに知ってもらえたら嬉しいです。
金継ぎとは?
金継ぎとは、陶器や磁器が、割れたり、欠けたり、ヒビが入ってしまったところを漆芸の技術を使い修繕する伝統技法です。漆(ウルシの木から採れた樹液)と小麦粉、米などを混ぜたもので接着し、石の粉や珪藻土、木の粉などに漆を混ぜた粘土のようなもので補填し、漆を塗った上に金など金属粉を蒔き装飾した技法のことを『金継ぎ』『金繕い』と言われています。
金継ぎはいつから始まったの?
諸説ありますが、古くは縄文時代に漆を使っていた事がわかっており、土器を漆で接着した跡も見つかっているようです。漆が塗料や接着剤として使えると考えた、縄文人はすごいですね。それから、金を装飾した金継ぎが始まったのは千利休が活躍した戦国時代から安土桃山時代と言われています。「茶の湯」が流行り出し、千利休が大成した「侘茶」という精神的美学から、不完全なもの(壊れたもの)でも美しいと愛でて楽む文化が広がり、金継ぎという技法が生まれたのだそうです。その時代には絢爛豪華な金を使った漆芸という技術も完成されており、漆芸の蒔絵師が仕事の合間に金継ぎを請け負っていたとの話もあります。その後、漆で直す金継ぎより安価で、早く修理ができるからなのか19世紀ごろの京や江戸、大阪では、ガラス継ぎ(焼継ぎ)という鉛ガラスの粉末を溶かして接着する技法が流行ったそうです。時代の需要や文化、流行に合わせて修理方法もいろいろと変化しているのですね。
金継ぎはどうやって直すの?
本物の漆を使った金継ぎは、最低でも5~6回工程が必要で、ゆっくりと丁寧に仕上げていきます。簡単に説明すると、器の状態を確認して壊れた断面を漆などで調整し、漆と小麦粉や米粉を混ぜたもので接着します。次に欠けた部分を漆と木の粉や石の粉を使って補填します。次に漆を精製したもので細かいボコボコを平になるまで埋めていきます。最後に、精製した漆を薄く塗り、金属粉を蒔いて完成です。漆が直ぐに固くならないので、日にちを分けて作業をするので時間がかかるんです。
漆はどうやって固まるの?
漆とはウルシの木から取れた樹液のことで、これを使って金継ぎなどの漆仕事をします。この漆を扱うのが少し厄介で、漆を上手く乾かせなくて失敗する人が一番多いのです。漆の乾く=固まるです。普通は乾くと聞くと風を当てたりして乾くと思ってしまいますよね。でも、漆って特殊な環境で固まるんです。湿度70〜85%、温度20℃〜30℃くらいが一番乾く(固まる)環境だと言われています。なので、日本の場合、梅雨が一番乾く環境で冬が一番乾かない環境なのです。漆の仕事をする時には、漆が乾く(固まる)環境を作ってあげる必要があります。その名も、漆風呂。温度、湿度を保つ密閉度が高い棚というイメージでしょうか。金継ぎをやる場合はダンボールやプラスチックケースでもいいので、簡易的な漆風呂を用意してくださいね。
今回は簡単に漆や金継ぎについて説明しましたが少し、興味が出てきましたか?漆の歴史についてや、技法、ウルシの木(かぶれるの?)についてなどの深掘りは、改めて記事にしたいと思います。
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