【パッシブデザイン的家づくり】02.敷地と配置と道路の関係
これから住宅の取得を考えている方に向けて、パッシブデザインを取り入れる場合の土地の選び方をお伝えしていこうと思います。
・パッシブデザインとは
「パッシブデザイン」とは太陽の光や熱、風などの自然のエネルギーを最大限活用する省エネルギーな設計手法で、建物の配置や窓の位置、庭の設えなどを工夫し、質の高い室内環境を整えるとともに、省エネルギーにも貢献することを目指すものとなります。
前回から持ち越した下記の3点についてです。
これらはそれぞれ密接に関係しているので、セットでお伝えしていきます。
・土地と道路の関係
・建物の配置
・敷地の形
前回の記事はこちらからご覧ください。
「敷地と道路の関係」ですが、共通事項として道路面より高い位置が望ましいです。
また、建築基準法上、道路に2m以上接していなければならないため、旗竿地などの場合は通路の有効幅員を2m以上確保する必要があります。
「建物の配置」は「敷地の形」によって左右されることが多くなります。
土地はそれぞれ、都市計画法によって用途地域が定められており、建ぺい率(敷地面積に対する建築面積の割合)や容積率(敷地面積に対する延床面積の割合)などが規定されています。
その他、高さ制限や道路斜線、隣地斜線、日影規制などによって、建物を建てられる範囲が限定されていきます。
そのため、3階建てをご希望の場合は注意が必要です。
「敷地の形」は一般的に整形地が好まれますが、変形地や旗竿地などは工夫次第で面白い建物となることもあります。
奇をてらったものが良いというわけではありませんが、お家を建てられるのであれば、こだわりが感じられるお家が良いですよね。
・シミュレーションしてみましょう
では実際に、いくつか敷地の形と配置、道路との関係をシミュレーションしてみます。
例えば、このような土地があったとして、①〜⑨までの土地があります。
どの敷地が暮らしやすそうでしょうか。(上が北で想定しています)
④、⑤、⑦は南側に道路があり、人気がありそうです。
逆に、②、⑥、⑨は3方向を囲まれているため、あまり人気はなさそうですね。
人気がある敷地は人気がない土地に比べて、価格が数百万円高く設定されることもあります。
でも、角地や南側道路はそれほど良い敷地なのでしょうか?
番号別に見てみましょう
・④⑤⑦を見てみましょう
南側に道路がある④、⑤、⑦は人通り、車通りが多い場合、家の中が見えないよう、日中はカーテンを開けられないことが想定されます。
実際に、南側に道路があるお家はカーテンが閉まっていることが多いと感じますが、如何でしょうか?
これを防ぐためには、ブロック塀を建てたり、生け垣にするなどの対応策がありますが、これらには相応の費用がかかります。
④、⑤は東西に、⑦は南側に駐車場を用意する形になり、東西に長い建物が想定されます。
パッシブデザイン的には、日射をしっかりと取り入れることが出来そうです。
・①③を見てみましょう
では、①、③はどうでしょうか。
2方向が道路に接していて、住環境は良さそうですね。
それぞれ北側から車を入れるようにすると、1階の床面積を小さくすれば、庭もしっかり取ることが出来そうです。
④、⑤は極力北側に建物を寄せてくると考えられるので、高さから日陰となる部分を想定する必要がありますね。
・②はどうでしょうか?
②も同様ですが、挟まれている土地になるので、近隣の建物の位置がとても重要になります。
建物を極力北側に寄せて南側に庭を広く取る、または2階にリビングを設けることも検討出来そうです。
・⑥を検討してみましょう
⑥は東側から車を入れる形です。
西日は隣家が遮ってくれそうなので、朝から15時くらいまでの日射を期待出来るようなプランが良さそうです。
西側に寄せて、南東側に開くようなプランが考えられそうですね。
・⑧はどうでしょうか?
⑧は南側に公園があり、これも人気がありそうです。
しかし、公園の利用者がたくさんいる場合は、④、⑤、⑦と同様に視線を遮る措置が必要になりそうです。
プランとしてはとても自由度が高く、北側や北東側に寄せて公園の植栽を借景としたり、道路側に寄せてプライバシー性を高めた庭を作るなども想定できます。
・最後に⑨です
⑨はどうでしょうか。
いわゆる「旗竿地」となっており、敬遠されがちな敷地です。
しかし、通路となる部分には車や自転車などを置いたり、綺麗にガーデニングなどをすると、アプローチから楽しめそうです。
配置プランとしては北側や東側、西側に寄せる、などが考えられます。
リビングに吹抜けを設けたり、2階リビングにすれば、日射は十分に取り込めるプランとなりそうです。
何れにしても、プライバシー性の高い外部空間を作るように工夫すると良さそうですね。
・まとめ
このように、どの敷地についても、何を大切にするかで、その土地のポテンシャルは変わってきます。
『どんな暮らしをしたいのか』
これがとても重要になってきます。
これから先の時代は省エネルギーでなければなりません。
今後は、全ての住宅についても省エネ計算が義務付けられていく流れです。
エネルギーを無駄にせず、快適な暮らしを楽しめるお家づくりをしていきましょう。
【心地よい暮らしをつくる建築設計事務所・つなぐデザインオフィス】
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