頭の冷やし方。冷えるシートや冷凍ゲルで冷やすのは効果があるのか。
こんにちは。斎藤彰裕です。
病気などで熱が高くなった時、頭を冷やすことが多くあります。また夏や梅雨の時期では、熱中症の症状やその予防に冷やすこともあります。ただその時に冷やす手段として、冷えるシートや保冷剤、冷凍ゲルの枕などを選択されることが多いとおもいます。しかし、それは本当に熱を安全に下げ、効果があるのかといえば私は疑問符がつきます。
そこで私がクライアントに推奨する方法を、何故かという理由とともに書いていこうとおもいます。
頭を冷やす本当の理由
そもそも何故頭を冷やすのか。もちろんそこに熱があるからですが、その熱からある器官を守るためです。それは脳です。
脳はとても熱に弱いです。そして変性してしまえば元には戻りません。だから熱に対しての排熱機能があります。
脳には血液が多く流れますが、普段でも全血液の20%程度が頭部に集まっています。もちろん脳を栄養するという目的もありますが、冷やすという目的も大きいです。パソコンも使用すると熱を持ち重要なコアの故障に繋がるので、冷やす機能があります。脳も同様です。パソコンでは空冷式としてファンをつけていますが、脳は頭の上にあり地面より風があたる空冷式といえます。また水冷式として水を循環させて冷やしますが、脳では血液が常に流れることで熱を奪い冷やしてくれます。脳はこれらの排熱機能を常に守られています。
頭を冷やす大きな理由は、脳を熱から守るためです。
安全に脳を冷やす方法
熱から脳を守ることが重要だということは先に述べたとおりです。そこで次に安全に脳を冷やす時に大切なことは、冷やすというよりいかに熱を奪うかです。そしてその熱を奪う、つまり熱を吸収するのに一番適しているのが水です。
水は比熱容量が高い物質です。比熱容量というのは、1℃あげるのに必要な熱量のことです。水の場合、金属など他の物質に比べて、
1℃あげるのに多くの熱が必要ということです。つまり、1℃あがる間に多くの熱を吸収するということです。
また水枕や氷のうなどに氷をいれることで、水温が低くなります。氷が溶けない間は0℃に近いです。これにはさらに利点があります。熱は高いところから低いところに移動する性質があり、熱移動ともいいます。氷をいれると体温の37℃から0℃と落差が大きくなるので、まるで滝のように熱の移動も大きくなります。その滝つぼには熱を一番吸収する水が蓄えられており熱をどんどん吸収してくれます。それは氷が溶けるまで続くわけです。0℃までしか冷えないので、冷たいですが凍傷などの危険はありません。
(市販の水枕)
(市販の氷のう)
冷えるシートや冷凍ゲルの枕などの効果について
さて冷えるシートや冷凍ゲルの枕の効果についてです。まずシートについてですが、効果はないとはいいませんが低いかとおもいます。それは、先程述べたように水がほとんど入ってないからです。熱移動も水での熱の吸収もほとんど期待できません。たぶん貼ってたらカピカピ乾燥してるという経験もあるとおもいます。
それだと濡れタオルを頭にのせるほうが、熱移動や吸収、気化熱も期待できて結果熱を下げることになるとおもいます。
冷凍ゲルについては、温度の落差があり熱移動はしますが、水が少ないので熱吸収は低いと考えます。また冷凍ゲルだと0℃以下になることもあるので、凍傷の危険性もあります。
(最近は凍らないゲルもあります)
どんな場合に使うか
水枕などを使うとしたらどんな時か。まずは熱が出てるときです。風邪やその他感染症の時など体温があがりますが、頭を熱から守っておいて、身体は体温上昇や免疫、薬等を活用して治癒していく必要があるとおもいます。
また熱中症のときや、身体に熱がこもるうつ熱の時なども同様です。
また目の使いすぎや考え事のしすぎで、頭痛が起こることもあります。頭を触れてみると後頭部や側頭部が熱い、汗をすごいかいているなどあれば熱を持ってることが多いです。
そんな時は安全に冷やしてあげると、症状が和らぐことが多くあります。
まとめ
熱は水が一番吸収してくれる。
氷をいれてあげると熱移動や熱吸収が長続きしてさらに効果も高まる。
冷えるシートや冷凍ゲルは水分量が少なく、効果が低い場合がある。
ただ、シートやゲルがダメというわけではありません。私としては、よりベターを選択していけたらいいという考えなので、なければそれでもいいし、あるのであれば水枕など選択できればよりベターかなと考えています。
人間は進化の過程で海から陸にでてきたため、気温や空気との摩擦熱や身体を動かすときの運動熱など、熱から身を守る排熱機能を発展させてきました。
病気やケガなど身体の調子が悪いときはこの排熱の機能も上手く働いてないことがあります。安全に冷やす、熱を吸収するという方法も覚えておいて活用していただければとおもいます。頭だけではなく関節など身体のあらゆる部位に応用可能です。