英語の共通テスト2年分を連続で解いて、変化をまとめてみた
とあるセミナーの案内メールを見て、3秒で申し込みフォームをクリックしてました。「後でひとりでやろう」と思ってもやらないことが、火を見るより明かだったので。
これで仕事の半分が終わった、と思えるほど「動くこと、決めること」の大事さを感じてます。あと、実体験の重みは計り知れないです。テスト久しぶりだし。
参加したのは(株)エデュケイティングの金井さやかさんによる「2021年大学入試共通テスト・英語特別セミナー」です。1/31(日)に受けたのに、もたもたしてnoteにあげるのが遅くなりました。
金井先生はセミナーの進め方がピカイチです。テーマだけでなく、全体のファシリテーションも勉強になる、一粒で2倍美味しいセミナーをいつも提供されています。
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セミナー翌日に、共通テストの変化をまとめたものを、教室の保護者様向けにお届けいたしました。これは、その内容に新たに手を加えたものです。
ここにはまとめきれなかったので、別の記事に自分へのメモと、その後の生徒とのやりとりをまとめています。こちら
特に小中学生を指導している先生は、また3月に同講座があるそうですよ。おすすめです。
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さて、2021 年1月16日に行われた大学入試全国共通テスト(以前のセンター試験です。今更?な説明だ)を解いてから、セミナーが開始です。
zoomにログインして、セミナー参加者の気配を感じながらミュートでテストを受けます。もしくは各自で事前に取り組むのもOK。いずれにしても、テストしてからの参加が必須。
私は時差の都合で、お尻を叩いて前日までにやりました。また、試験の変化を体感するために、まず2020年の分をやり、その後2021年の試験をやりました。
結論:めちゃめちゃテストが変わったよ
参加者の先生方と感想シェア、テスト分析をします。
どうやって、大学入試レベルの実力へ生徒たちの英語力を伸ばしていくか。金井先生のファシリテーションと考察を中心に、意見交換をしていきます。
言われてたとおりですが、どんな英語力が求められているのか、まとめてみます。試験内容は今後も変化、進化が期待されますが、大きなポイントは二つ!
それは、
①リスニングの配点が増えたことと、
②知識・技能から思考・判断力を求めるテストへのシフト
がおこったこと。
1.リスニングの配点が増えた
2020まではリーディング200点、リスニング50点。
2021年からリーディング100点、リスニング100点に。
リスニングのボリュームがググッと増え、瞬時の判断を求める情報処理能力が問われます。
リスニング
第2問(1)-(11) 音声2回くりかえし。 4択問題
第3問 (12)-(17) 音声1回 対話文
第4,5,6問(18)-(37) 音声1回 問題文と図表に目を通す時間あり。
特に後半、受験者が疲れてくるころの情報量が多く、集中力とスキミング力が求められます。
第6問Bは話者が4人。誰が誰だかわからなくなって、受験生は焦ったのでは。実際は、誰が何を話しているかわからなくても、会話の全貌がわかれば回答ができます。
私もメモを取っていましたが、途中で「ん?誰だっけ?」と声の特徴がわからなくなって、自信がなくなりました。
くり返しになりますが、話者が曖昧でも回答できる問いなので、そこも計算済みなのだと思います。
TOEICの会話設問の話者は3人なので、ここは今後3名に変更される可能性もあるかもね、との意見あり。
いずれにしても、実践力を問うています。負荷のある環境でも全体のコンテクストを把握する力を求めています。
2.知識・技能から思考・判断力を求めるテストへのシフトが顕著
アクセントや並び替えの問題は言われていた通りゼロになりました。
代わって、より実際的なシチュエーションで回答を問う問題が増えました。
アメリカにいる私的にも、「あ、これはネットで情報をあつめて、オンライン登録をするなど、行動が必要な時に使う能力だな」と感じる問題がいくつかありました。
ただ、難易度は高くないです。読み物として手応えのある問題は減りました。「英検2級程度のレベル」と言われる先生方が多かったです。こういう、他の先生のフィルターを通した発見も、講座に参加するメリット。
私はかつて、英検1級の長文が面白くて、帰宅後にネットで調べまくった経験があります。テストはストレスの大きい経験ではありますが、教養や意識を高めるような出題を期待したいです。
だって、過去問をみんな勉強するじゃないですか。
テスト中は余裕がないとしても、テストにむけて過去問を解いているときに「!?」「なにこれ、面白い」「知らなかった」というように、まなびの好奇心を刺激する意義は大きいです。
テスト全体を通したキーワードは「情報処理能力」
金井先生曰く、キーとなる力は二つ。
「パラフレージング力」と「ディクテーション力」です。
わかりやすい。以下自分なりにまとめてみました。
「パラフレージング能力」
・Reading/Listening/Speaking/Writing 4技能に必要
・言い換えられた言葉を理解する力。
・同じ意味の言葉で言い換える力。
「ディクテーション能力」
・主にListening/Speaking/Writing/に必要
・音声を聞いて、理解する力。
・音声を聞いて、文章に起こせる力。(これ大事。文構造の理解に繋がる)
「パラフレージング:言い換え能力」の例は以下のようになります。rephrasing/rewording とも言い換えられますね。
seven days → a week
50% → a half
unable to see → unclear vision
trouble sleeping → sleep disorder
substitutes → alternatives
stomach trouble → not digested quickly
実際のテストで考えてみましょう。
設問の文章では左側の言葉が使われている。
でも、回答の選択肢には右側のパラフレーズが使用されている。
さあ、君はこれらが同じものを指していることに気づくだろうか?
それが正誤の分かれ目だ!(熱血)
パラフレージングは語彙力x読解力
「パラフレージングスキル」は、必要な技能を分解してスッキリさせた良い言葉だなーと思っています。それをあえて馴染みのある言葉にもどしちゃうとすれば、語彙力x読解力かと思います。(なぜ戻す)
「パラフレージング化」は、私が生徒のスピーチや会話に手を入れる時に必ずすることです。
同じ言葉の繰り返しは、書き言葉でも会話でも、そして日本語でも耳障りなもの。これに気付いて、言葉を言い換えながらつむぎ続けることができるか、もしくは理解できるか。レッスンではここをお手伝いするように気をつけています。
「パラ化」は、単語学習では身につきません。点が打ちっぱなしになるからです。
点と点を結びつけるには、英文を読み続ける積み重ねが絶対ぜーったい必要です。多読が大事なのは、長文を読み込んだ土台の上で点をうち続けると、一見バラバラな語彙学習が実を結ぶのを実感できるからです。
また、具体的なものを一つ付け加えるとすれば、代名詞や指示代名詞を使いこなす力も入ってくると思っています。
デッドラインを決める
共通テスト2年分を一気に解いて気がついたこと。それはデッドラインを決める大切さです。
テストに申し込めば、お金も払うし、なんとしてでも対策をします。でも、結果を出すことが第一の目的ではないかもしれません。
「やる」「やり続ける」状態をお金で買ったと捉えてみる。だから、テストの効用は結果でなく、むしろ取り組むタイムラインを日常に取り込むことです。
テスト当日までのプロセスと、受験後を有効に使うことが大切ですね。
あと2技能が足りない。どうする?
英語の4技能のうち、Reading と Listeningは共通テストに含まれています。けれどもWritingとSpeakingは含まれていません。
ではどうするか。ひとまず一番取り組みやすいのが英検です。英検の長文は良い学習コンテンツだと思います。教室の皆さんには節目節目に是非挑戦してほしいです。迷っている時はご相談ください。
教室の最年長生徒は中2生ですが、大学受験、その先の人生を見据えてどのように指導していくべきか、考え続けています。
プレゼンテーションはタスクベース学習
こうやって、大学共通テストに取り組んだ後に、ぐるっと回って結局もどってくるのは、「タスクベース学習」の重要性です。これは、「課題に取り組む学習」と言いかえられます。
私の教室、つながるえいご online studioでは、年2回のプレゼンテーションをしています。スピーチやストーリー作りと、練習、発表までを含めた全てのプロセスがタスクベース学習にあたります。
タスクベースの学習は、上記の4技能を含むだけでなく、生徒中心の学習(ownershipのある学び)であることが何よりも重要な要素です。
自分でやりたいことを決め、自分の考えをまとめ、自分の力で進めて行きます。できないことや困ったことを解決するには仲間やコーチとのコミュニケーションも必要です。スケジュールを把握し、予定通りに進める力も要求されます。
実際に動くのは生徒一人一人です。私と保護者の皆さんは種をまいて水をやり、日を当てることくらいしかできません。
学習は孤独でもあります。どうやったら自分で取り組もう、と思えるか。
常に応援し続ける姿勢を忘れずに、3月末のプレゼンテーションに向けて、よろしくお願いします!
最後までお付き合いありがとうございました。
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