【観劇記録】宝塚花組『うたかたの恋』
大千穐楽、おめでとうございます!
東京宝塚劇場で2度、観劇させて頂きました。
(1階S席上手側・2階B席下手側)
新演出・令和版『うたかたの恋』
正直、めちゃくちゃ好き〜!!っていう演目じゃなかったんです、うたかた。
18年に星組中日劇場版を観に行ったのですが、今回の演目発表があった時は「おお…再演…大劇場で??」という感想を持ちました。
(少し前に愛月ひかる様サヨナラショーの幕開きがうたかたの恋だったのが記憶に新しいですよね!愛ルドルフと舞空マリー、あの一場面だけだったけど良すぎて泣いたな。あれは最高のサヨナラショーだった…。大劇場のうたかたはあの一瞬しか見た事なかった、それも配信。この演目を見るまでは…あかん、話がそれてしまう)
せっかくなのでまっさらな気持ちでみたいな、と思い1回目は過去作を復習せずに臨んだのですが、
え…うたかた…
ハチャメチャに良〜〜〜?!(打ちのめされ顔)
序盤のミラーボール、『あの』イントロ、そして真っ赤な大階段…
生きてて良かった………!(早い)
となりました。(笑)
私のツボポイントを書いていきます。
大劇場ならでは!
荘厳な舞台セットと上質なお衣装!
私建築とか無知なので適当な事言ってたら申し訳ないのですが、あの宮廷のセットがただの宮廷じゃなくて、『ハプスブルク家の』宮廷なんですよ!!
鷲とか鏡とか『エリザベート』にも通じるハプスブルク家のモチーフが至るところに散りばめられていて、色味もあの時代の空気の重々しさをより感じられるようになってました(最高)
お衣装も、華美過ぎないところが良かった…。
布の質感がどれも素敵で、娘役さんのドレスはみんな綺麗でその人物に合っているデザイン。
何より、落ち着いた色合いの白/ブルー/黒軍服+金髪の柚香光だけでチケ代の元が取れた。
小柳先生の『エリザベート』の演出に入られている経験が、物凄く活かされている…!
それは舞台セットだけではなく、脚本・演出にも!
ルドルフを取り巻く各勢力と、恋人達の対比
私の中のルドルフとマリー、これまでは『愛の為に生き、愛の為に死ぬ!!!』って感じで、周りは見えない、2人の世界の中だけで生きてる、ここで生きられないなら死ぬ、ってイメージだったんです(極端すぎ)
しかし、今回でそのイメージは変わりました。
特にルドルフは、自分の政治的立場・自分に取り巻く各勢力と自分の思いとのギャップに苦しみ、悩み、疲弊し、病んでいく。
今回フリードリヒ公爵は『悪』として描かれず、あくまで『保守派としての政治的な働きをする人物』として描かれています。
また、自由主義派のゼップスも『ルドルフの理解者』というより『自由主義国家にする為にルドルフを担ぎ上げよう』という色味が濃くなっていました。
(しぃ様のビジュアルがエリザ版ツェップスと近いのが物凄く良かった。ルドルフを心配しつつも、そもそもは己の志の為の行動である事がわかるバランスが絶妙なお芝居もさすがしぃ様)
ここで、ルドルフが保守派と自由主義の板挟みになっている事が鮮明に伝わりました。
皇太子として保守派として動かないといけない、自由主義は素晴らしいけれど武力闘争ではだめだ、結局自分は自由主義者にも利用されているだけ…。
これまではフリードリヒ公爵がルドルフを追い詰めるような描き方だったので、この変更はとても新鮮で、私はとても好きです。
死の決意の理由が、マリーとの愛のみではなく、政治的な自分の立場でもあった事が痛いほど伝わったので…。
いとこのジャンとフェルディナンドの恋人達の関係の対比も良かったですね!!
ルドルフにとっては理想的なカップル達であり、現実とのギャップに苦しむ要因にもなったのだと。
同じハプスブルク家なのに、皇太子というだけでがんじがらめになるルドルフ…柚香光さんの繊細で病んでいくお芝居がなんとも素晴らしく胸が痛くなるものでございました…
聖母のような、星風マリー
マリーの人物像もだいぶ印象変わりました!!
改めて星組版を見返したら、あーちゃんマリーの幼いこと!
衣装や髪型からもう幼女…!て感じのブリブリの可愛さ(褒めてる)、物事の判断もついてなさそうな屈託さでこれはもうルドルフの犯罪感が増しますわ(そういう話?)
まどちマリーは、髪型はダウンが基本で、ドレスも若々しい色合いではあるものの、大人になりゆく人の為の洗練されたデザインで、過去作よりビジュアルが大人っぽいんだなと思いました。
犯罪感がなくなりました(だからそういう話?)
まどちマリーも最初こそ幼くお手紙をもらった時のばあやとのやり取りなんて可愛すぎて保護するところでしたが
(あと、ルドルフとの初対面前は完全にルドルフ=推しって感じの行動パターンで可愛かった。笑 憧れのあの人(恋)じゃなくて(推し)って感覚のマリー初めてでとてもよかった。共感できる笑)
ルドルフを知る毎に、大人になっていくんですよね。
政治的なことは分からないけど、ルドルフと一緒になる将来はない事は分かっているし、ルドルフの心の痛みは同じように感じてる。
マリーが、目の前にいる人を『殿下』ではなく『ルドルフ』として見ていく変化が見られました。
(推し→大切な人に変わっていくまどちのお芝居が素晴らしかった…)
特に印象的だったのがエリザベートとの対面とザッシェルの店の場面。
「母親としてルドルフに何もできなかった」と言うエリザベートがマリーに「私が来た事を、あなたから伝えてくださいね」というところで、ルドルフの“母”としての役割をマリーに移したように見えました。
この作品では描かれていませんが、エリザベートがずっと旅に出ていて、ルドルフが母の愛を感じられずに育ったことを考えると、ルドルフにとってマリーは「恋人」としてだけでなく「母のような無償の愛」を感じさせてくれる存在になったのだと感じました。
(ここの華雅りりか様のお芝居が本当に素晴らしかった…ずっとオペラで見てた)
その事がザッシェルの店の場面で痛感させられました。
自暴自棄になってボロボロになったルドルフの元にマリーがかけつけ、「もう帰りません」「ずっと貴方の傍にいます」と言うマリーは、聖母マリアのようにルドルフを包み込んでいました。
心中は彼女が巻き込まれたものではなく、彼女の強い愛・意思によるものだったのだと印象づける場面でした。
トップ娘役を極めた星風まどかさんにしかできない、新しいマリーでした!!
改めて今、大劇場でやる意味
ルドルフの理想と現実に苦しむ姿や、マリーの推し活(言い方)からのひたむきに相手を思う心に共感し、ラストは感動を感じる事ができた今回のうたかた、大成功だったと思います!
柴田先生の美しい台詞は残しつつ、今の時代には古いな?という表現はクリアになっていて。
令和の今見ても、どこかの場面の誰か1人には絶対に共感できる作品になっている…すごいな!!
何より、この作品は宝塚でしか見れないなと。
最近の宝塚の作品は、外部でも見てみたいかも…!(できるかも…!)と思う作品もあるのですが、
煌びやかで直球の愛の作品を、クサくせずホンモノにできるのは宝塚だけ。
そういう作品が逆に珍しくなっている気がするので、今回うたかたを大劇場で観られて本当ーーーーーによかったです!!!!!!
再演〜…?と思っていた頃の自分に言い聞かせたい。笑
おまけに香水ショーもついてる最強の公演。楽しかったなあ。素敵な観劇体験でした。
双頭の鷲のナンバーがめっちゃ好き!!!!!!!!!!(突然の叫び)
ここまで読んでくださり、ありがとうございました。
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