あっという間に半年
生きている。時の流れは驚くほど速く、気付けば夏が来る。
半年前の記録を読み、かなりしんどかったんだなと他人事のように感じたのは改善してきた兆候だろうか。
心療内科に長年かかっているが、どこもいわゆら3分診療だった。薬を出されてハイおしまい。とにかく消えてしまいたいが子がいる親もいる。自ら死を選べば、悲しみ嘆くだろう。ぼろぼろの状態ではあったが、そんな痛みを与えたくないという気持ちはあった。そこで話を聞いてくれる心療内科に変えようと思い、ネットで探した。しかし評判を見て行ったその病院では、死にたい気持ちを訴えたもののアルコール摂取量が多いことばかりを指摘され、アル中だから紹介状を書く、アルコール外来へ行け、と。
お酒は好きで飲んでいるだけで、ないと震えるだとかイライラするだとか居ても立っても居られないだとか、そんなことは一切ないと言っても、アルコール外来へ、とだけ。
確かにアルコール依存の人もそのように主張するのかもしれない。しかし数少ない楽しみであるお酒までも取り上げられてしまうのかという落胆と、苦しくて辛くて居なくなりたくてたまらないぎりぎりの精神状態に見向きもしてもらえない絶望。
それでも後日、紹介状を手にアルコール外来へ行ってみた。消えることしか考えられず頭の中はただただ死という状態で、死イコール楽になれるという考えに支配されていた。
だが結果的にこの選択は生活を好転させた。担当医師は初回2時間もかけて話を聞いてくれ、アルコールの量よりも鬱状態のほうが心配だと言い、処方薬の見直し及び次回診療の5日後までの禁酒となった。禁酒の理由は、お酒が強い人に多いらしいのだが、アルコール分解酵素が薬の成分も分解してしまう可能性があるとのことで、もしそうならばお酒を飲まないに越したことはないと。同意して禁酒して過ごした。
その後、万事順調にいったわけではないが、今も生きている。初回以降アルコールは制限されていない。飲んだ量を誤魔化さずに伝えることが条件だ。幸い薬は効いており、睡眠の質も高まった。
初回、担当医師との約束は禁酒だけではなかった。死なないこと。死なないことを約束した。
死なないことを約束してください。
これまでのどの医師からもなかった言葉だ。力強い、心強い、約束。
消えたい気持ちがなくなったわけではない。事故死、病死を願う気持ちはある。それでも死への渇望は薄れている。死んでいないから生きている。その程度だが、半年前と比較するとかなり楽だ。セーブしつつ仕事もしている。身の回りのことはまだ十分にできないが焦ることはないと思えるようになった。
物語はまだ続く。いつまで続くのかはわからない。目にしてくれてここまで読んでくれて、ありがとう。またお目にかかれる日まで。