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なんで生んだんだ ─親ガチャ

お子様がいらっしゃる方にはお勧めできないエッセイです

なんで私を生んだんだ。頼んでなんかいないんだよ。
50歳を過ぎた今でもときどき思う。私はいわゆる繊細さんで、うつ病歴20年。色々なことに過敏で、空気を読みすぎ、気を使い過ぎて一人で消耗する。心も体も疲れやすい私はとても生き難い。今は自宅療養なのでだいぶ楽になったが、働いていることは生き辛く、閉塞感に押しつぶされそうで、いつも死を望んでいた。


私はうつ病になり退職し収入がなくなった途端に、母に親子の縁を切られた。金銭的にも人手としても役立たずになった娘に「親子の縁を切る」と言い放った。いつもの母の笑顔で。ぞっとした。

まもなく私の中に噴き出したのは、「なぜ生んだんだ!」という強い怒りである。持って生まれた性格と気質と体質のため、他人の何倍も生き辛い。
こんなしんどい人生を、私は選んで生まれてきたのではない。
お前が勝手に生んだんだ。お前が私を生んだから、私はこんな苦しい人生を生きさせられているんだ。
その一番の原因をつくったお前が私を、今、捨てるだと!

なんで生んだんだ 始めから産まなきゃよかったじゃないか
それは私の心のすべてを焼き切る激しい怒りだった

子どもをつくるのは本能? まともに子育てできない大きなおこちゃまが、本能と社会の風潮に流されたままに、子を作っただけだろ? 
私の実家は父親の機嫌が最優先。私は小さいことからずっと怯え、我慢し続けてきた。麻雀屋から「金持ってこい」と怒鳴った電話を頻繁にかけてくる父親のおかげで、私は鉛筆1本買うのに随分悩む小学生になったよ。

親ガチャに外れた子どもは生まれた時から大きなハンデを背負ってる。それは本人の努力だけでは、かなり解決困難なことだ。
学校で落ちこぼれたらみじめなもんさ。ビンボーの上に頭も悪い。どうやってのし上がる。自己肯定感って何?て世界。どうやってこの社会の中で生き延びろと言うのか。
だから、あらかじめ親候補者の性格・人格・思想・子育てスキル・経済力・虐待をする可能性などをチェックして、合格した人だけが親になるようにすればいいのに。不合格に人には絶対に親にならないでほしい。
親ガチャの結果はピンキリだ。多分、圧倒的に外れの多いガチャだ。私は外れた。

あるいは生まれる前の胎児にきけたらいいのに。「この家庭に生まれたいですか」と。
そうしたら私は生まれてこなかった。


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紬 余話(つむぎよわ)
お読みくださりありがとうございます。これからも私独自の言葉を紡いでいきますので、見守ってくださると嬉しいです。 サポートでいただいたお金で花を買って、心の栄養補給をします。