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息をするだけで生きた日々
「お願いだから死なないで。何もしなくていいから。息をしてくれるだけでいいから」
20年前、どうしようもなく辛く、苦しいときに私の命をつないでくれた母からの言葉だ。
あのときの私には何もなく、あるのは絶望だけだった。
正直そのころの記憶はあまりない。でも、風が吹くたびに感じた強烈な気持ちだけは今でも鮮明に覚えている。
「体が砂みたいにサラサラ崩れて、消えてしまえばいいのに」
「私の記憶も存在も、何もかもが無くなればばいいのに」
あの頃、誰かが「がんばれ」とか「大丈夫」とか「いつかいいことがあるよ」とか伝えてくれたかもしれない。でも、私の心には何も残らなかった。
いつ抜けられるか分からない暗闇の中で、身動きがとれなくなっていた。抜け出そうとする気力すら湧き上がらず、このまま沈んでしまえばいいと思っていた。
役に立たない私、周りに迷惑ばかりかけている私、みんなを泣かせてばかりの私。そんな私に対して「息をしてくれるだけでいいから」と言ってくれた母の言葉に救われたんだ。
何もがんばれないけど、息をするだけなら、できるかもしれない。
息を吸って、吐く。
吸って、吐く。
吸って、吐く。
ただそうしながら、目の前にやってくる1日1日を過ごした。
あれから20年近く経つ。
私は今、笑うし、怒るし、たまには泣くし、「ああしたい」「こうしたい」なんてささやかで小さな夢や希望がある。
こうやって、あの頃のことを思い出しながら、noteに記すことができるようにもなった。
苦しいときって、あるよね。
自分のチカラだけではどうしようもないとき。
良い未来なんて少しも想像できないとき。
生きてても仕方ないんじゃないか、自分が生きてるだけで迷惑をかけちゃうんじゃないかって思うとき。
自分の存在を呪うとき。
過去の自分を責めて、あのときの行動を後悔するとき。
息ができないほど泣きじゃくり、涙も出ないほど絶望に打ちひしがれるとき。
全てを捨ててしまいたくなるとき。
心が空っぽになって、抜け殻のようになるとき。
「大丈夫だよ」とか「幸せになれるよ」とか、そんなことは言うつもりもないし、そんなことを言える立場でもないのは分かってる。
でも、あなたも、私も、大丈夫だと信じたいし、信じてる。
あなたがいつかまた笑える日を迎えられますように。
あなたが明日も笑って過ごせますように。
今日も素敵な一日を。