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9時間の親子の日常|思春期の息子たちを見誤る私

vol.11【ワタシノ子育てノセカイ

フワフワからか細い糸をつむぎつづけるけど糸は見えなくて、だけどカラカラ回さないと糸がよじれてしまいそうで怖いんだ。

夢とうつつを彷徨うような時間に、一体どれほどの意味があるんだろう。

ーーー 

「お母ちゃん!何回も電話かけてんで!」

大きな男の子が笑いながら部屋に入って来た。

〆切明けで仮眠中だった私。
夢かうつつか判断しかねる。
視力も欠いて誰だかもわからない。 

いやいや、お母ちゃん言うてますやん← 

3ヵ月ぶりのタロウが汗かきつっ立っている。メガネを探す1秒すら惜しんで私はタロウを抱きしめた。 

背が伸びて、身頃が増えて、おでこにニキビ。抱きしめている私の息が詰まりそうだ。

「お母ちゃーん!来たでぇ!」

つづいてジロウも現れた。
母、プチパニック。
とりあえずハグしたら、涙こぼれて笑われた。 

タロジロ揃う姿を眺めるのは4ヵ月ぶりらしい。会えない時間が長いのか短いのかすらもうわからない。  

ーーー 

スマホを確認すると不在着信が5件。
きちんと間をおいてかけ直している。
着信不在なだけに母も不在かもしれない。
だけどタロジロはとりあえず足を運んだ。 

たまたま自宅にいた今日に感謝。
たまたま仕事がひと段落して感謝。
会えると信じてくれたことに感謝。
行こうと判断してくれたことに感謝。
耐え忍んでくれた空白の時間に感謝。 

野菜料理5品作る学校の宿題にも感謝←

うん、日常は幸せで溢れてるな。

ーーー  

タロウはこのまま会いにこなくなるかもしれない。なんとなく頭に浮かぶ回数が増えていた私。 

くり返される社会の不思議な言動に、順応したくなる年ごろかもと想像していたんだ。 

私はタロウから聞いていたから。
会いにこれなくなった原因を。
13歳の彼は大人を静かに見つめている。

子どもたちの目に、この世界はどんな風に映っているんだろう。 

ーーー 

降って湧きでた一緒の9時間。 

ただお喋りをして、
レゴを一緒に組み立てて、
献立を一緒に考えて、
昼食を一緒に食べて、
食事中にお喋りして、
食後もお喋りして、
レゴで一緒に遊んで、
いとことビデオ通話して、
肌のかゆみを心配して、
寿司打で兄弟勝負して、
将棋で兄弟勝負して、
ドンジャラ一緒にして、
ずっとずっとお喋りして、
夕飯も一緒に食べて、
焦げた餃子に笑って、
飢えない今に感謝して、
会える今に感謝して、
大富豪で一喜一憂して、
未来の私たちを想像して、
ただただずっと一緒にいた。

9時間は30秒くらいなのかもしれないな。

ーーー 

私は大きくなったタロジロと話たいことがあったんだ。解釈によってはフォローが大事になる話。時間に余裕がなければ難しかった。

9時間も一緒にいられるこの日。次、3人揃うのはいつだかわからない。次がないことだってあるだろう。

これからの親子時間について対話した。 

 お母ちゃんは『コレ①』できたらうれしい。
 タロジロともっと絆を深められるやん?
 ふたりの考えを述べよ← 

冒頭ではまずコレ②を確認。
『子どものうちに親と過ごせる残り時間』 

あとコレ③も。
『人はいつ死ぬかわからない』

ーーー 

ふたりは驚くほど素直に対話に応じてくれた。しかもなんだか楽しそうに考えている。 

実は私はビビっていたんだ。10代のタロジロに煙たがられるかもしれないって。 

特に、『コレ①』は却下予想していた。
特に、思春期ど真ん中のタロウさんから。 

幸せを運んでくれるのは、タイミングと、ほんのちょっぴりの勇気なんだな。

これから当面の親子時間の方向性がまとまった。私たちは秘密の約束『コレ①』を交わす。

ーーー 

9時間が過ぎた。
車でおうちを移動する。 

玄関足元のはめ込み窓で恒例じゃんけん。私はひとり、車で驚く。じゃんけんがもう思い出になっていたんだ。

4年前にはじまった窓ごしじゃんけん。4ヵ月ぶりのタロジロの覗き込む姿。小さな窓枠に窮屈そうに寄り添っている。 

よくわからないけど窓ごしのタロジロが滲んでいた。 

ーーー   

私たちはまた、遠隔親子時間の世界へ。だけどタロジロと私は大丈夫。

呼吸するように愛する約束を交わしたから。 

タロジロと私の親子第3ステージのはじまりだ。 

搾取され続ける親子時間にただ感謝。
すべてを人生の糧にしてやる。
答えは必ず、タロジロの中にあるんだ。

とはいえ反抗期がきたらヘコム予定← 

ーーー 

見えない糸だからこそつむぎつづけると、強くしなやかな愛が拡がって、大切な誰かをいつのまにか、ふんわり強靭に包み込むのかもしれないな。

ーーー
2022.08.19 Facebook 記

初Midjourneyは「えんとつ町のタロジロ」

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