学校行事で未来を創る?声を出しても届くかは未知だけど、出さないと絶対に声は届かない
vol.16【ワタシノ子育てノセカイ】
こがね色のイチョウがふっくら映える午後。ジロウが頬をほんのり膨らませている。
「お母ちゃん。参観カードもらえへんだ」
まもなく音楽会。
コロナ対策はまだまだ続くらしい。
ーーー
4年生ジロウは3回目の「先生プリント2枚ください」をしたらしい。
学校行事には参観の人数制限があり、参観カードにアレコレ記入しないと参加できない。加えて私はなんやかんやで、記入できない状況にある。
そこでジロウは「先生プリント2枚ください」作戦をあみだした。作戦は今回でシーズン3となり、シーズン0のみ成功している。
3回目のジロウの挑戦と結果に、言葉に詰まる私は会話に間があく。
するとジロウが話をつづける。
「プリントもらえへんだから、校長先生にも頼んだ」
私の視界が滲むのは、こがね色のジロウが眩しすぎるからかな。
ーーー
わかっているのに思わず私は尋ねてしまう。
「先生にお願いするとき、ジロウはどんな気持ちなん?」
ジロウが答える。
「あかんって言われたらどうしようかなって、いっつもドキドキする」
尋ねたアホな私はさらに尋ねる。
「ドキドキするのに、なんでジロウは先生にお願いできるん?」
ジロウが朝日みたいな顔になる。
「お母ちゃん学校来たいやろ?ジロウ見れたらよろこぶやん!」
僕がよろこんだらお母ちゃんうれしいやろ?のジロウが、お母ちゃんよろこんだら僕がうれしいねん、になってる。
親権制改正への中間試案について、多くのメディアが報道したのは、朝日みたいに眩しい顔を見た、前日の16日だった。
時間は流れているらしい。
ーーー
シーズン2でもぎ取った参観カードは、今回はするりと私の手元にやってきた。
ジロウが学校を動かしたんだ。
いろんな楽器の重なる音色から、木琴の音だけ、やたら輝いて聞こえる私には親権がない。
でもええねん。
今の日本の親権には、意味なんかないから。
とにかく、未来は子どもが創るんだ。
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