「かがみのえほん」シリーズと特許

はじめに

私が好きな絵本の1つに、「かがみのサーカス」という作品があります。

かがみのサーカス (福音館の単行本)

渡邉千夏さんの「かがみのえほん」シリーズのうちの一冊です。
「かがみのえほん」シリーズは、鏡のように反射する紙でつくられているのが特徴で、特有の空間的広がりを感じることができます。
イメージしにくい方はこちらの記事を参考ください。

vol.16 SICF受賞者特別インタビュー 渡邉千夏 | SICF

特許

実はこの「かがみのえほん」シリーズで使用されている仕掛けは、特許出願されています。
それが特開2016-074094です。

仕掛け絵本 | 特許情報 | J-GLOBAL 科学技術総合リンクセンター

しかしながら、権利化はされていないのです。

そもそも、特許は出願すれば必ず権利化されるわけではありません。
出願した後、特許庁の審査官に発明の特許性を審査してもらう必要があるのです。

特開2016-074094の場合、この審査をそもそも依頼していない状態です。

では、なぜ権利化を目指さなかったのでしょうか。

これは私の推測でしかありませんが、鏡の仕掛けを他者に使用されること自体は問題ないとの考えがあるのだと思います。
ただし、この仕掛けを後から他者に権利化されるのは問題ですよね。
なので技術の詳細を世間に公開したのだと考えられます。
既に公開されている技術は新規性が無く、特許性が認められないためです。

終わりに

「かがみのえほん」シリーズと特許について見ていきました。
今後の作品も楽しみにしております。