![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/152257694/rectangle_large_type_2_1f32c8da56b6f53e0607d8ce83859c47.png?width=1200)
大河ドラマ「光る君へ」第三十二話「誰がために書く」所感
のっけから、タイトルに合わせて鐘が鳴る。
伊周
一回休みだった伊周さん。オリンピックなどなどを含めると、呪詛シーン以外はほぼひと月ぶりですね。生まれた時から自分が偉いと思ってしまうような家庭環境に育ったやつって、たまにほんまに手に負えない。その代表のような偉ぶりようです。
漢詩の会になぜ伊周を招いたかは謎ですが、結局道長に牽制しまくっている場面を描きたかっただけでしょうか。詩はご本人の作。杜甫かっ!というくらい「被害者ヅラ」な詩でしたねぇ。ということは、史実でも漢詩の会に招いていたってこと?公任たちが言っていたように「余裕を見せつけるため」か、周囲に「ほら、こちらが招いてやっても、これくらい失礼な(被害者ヅラ満載な)詩を読むような嫌なやつだろう?」を周囲に見せつけたのか。もし後者なら、斉信はおっとっと危なかったですね。
一条帝が、伊周を公卿に戻せと言ってきましたね。それも、道長の裁量で。これまだ「朕の願いであると伝えよ」だったら潔かったけれど、この後に及んで中の関白家を優遇しているために自分の評判を落としたくないなんだかもうへっぴりな一条(でも伊周は戻したい)は、道長に丸投げ。反発が出ることまで分かっているのに戻したいのは、なぜ隆家ではなく伊周なのでしょう。定子だけでなく伊周にも執着する一条帝。女院さまがお隠れになってから、ますますひどくなってきましたね。定子皇后のこと以外は賢帝だったのではないかと言われる一条帝ですが、実は女院さまが賢かっただけだったりして。しかも、道長からもらった物語には「忘れておった」←絶対わざと。甥っ子たちに苦労させられるね。
結局、一条帝に宣旨をもらった途端、月食は起こるは火事は起こるは。まぁ何年も夜な夜な呪詛に明け暮れるような伊周が内裏に戻ってくるとそうなるよね。
「湧き上がってくる物語」がひらく道
帝はなんだかんだ言って源氏物語を気に入ったかもしれん。ちゃんと読めば、確かにいろんな故事をおさえている(らしい)ので、帝はそっちに興味をもって。道長は少々ゴーインに、まひろを女房に取り立てました。はぁ、また歴史への改変が。
隆家の不思議
これ、勘違いかもしれませんが、隆家って自分の(人について)好き嫌いをあまり言わない気がしました。今回なら行成にギャンギャン言われて、彼が去ってから「あの人は、左大臣さまがお好きなのですかね」なんて言うシーン。普通なら「あの人とは合いません(=嫌い)」みたいなセリフが来るかなと思うのですが。兄上はこうしたほうがいいとかは言いますが、この人が好き、この人が嫌いってあまり聞きません。隆家ならはっきり言いそうな感じがしましたが、と言うことはあまり人について好き嫌いのジャッジをしないのでしょうか。一〇〇or〇(百ゼロ)で人を好き嫌いする伊周の「兄とは違います」を強調したかったのでしょうか。
赤染衛門キャラ変?
昔はまるでロッテンマイヤーさんみたいだったのに、再登場からすっかり面白キャラになってしまった赤染衛門。まひろも意外な顔。けれどこのパターン、少納言がやってるじゃないですか。当時、こうやって旦那を見限って(離縁するかどうかは別にして)貴族邸や宮中へ女房に出る女性は多かったのかもしれませんね。
晴明最期のネタバレ
呪詛などは人の心が勝手に震えているだけ。なかなか深いですね。「呪われている」と噂を流すだけでも心理的に病ませることができるとか、そういうことでしょう。ただ、この人の「人や未来を見通す力」は本物だという設定なのですね。
気になったのが、お弟子さん。一緒に見ていた家族は「彼も死んじゃったのね」なんて言ってましたが、彼も一緒に退場なのでしょうか。これから道長に付き纏って、色々画策したら面白いのに。
まひろたちの「月」というテーマに対して、彼のテーマは「星」でしたね。史実なので仕方がないですが、ここで今回の名脇役安倍晴明が退場するのは寂しいです。まぁでも、道長もいつまでも晴明の策に甘えていないで、自分で画策して政争を乗り越えていくようにならないと、です。
ユースケさんの怪演がピカイチでした。お疲れ様でした。
メインパートが……
前回今回と、まひろが宮中に上がるということと、源氏物語が誕生するという、ある意味紫式部ドラマの核心とも言えるあれこれの時期だったのですが、ゲス不倫からの歴史改変から変えなければならなかったあれこれがもうたくさんで、個人的には一切盛り上がりませんでした。清少納言はあんなに綺麗に描いたのに、なぜ肝心の主役をこうも変えてしまったのか。紫式部が主人公と聞いて、ファンが一番「有力説」の通りに、ベタにやってもらいたかった、何もいじくらずに尊重してほしかっただろう部分なのに、本当に惜しい限りです。
先週も書いたかもしれませんが、やっと後宮編です。四十八話全部宮中でも良いくらいなのに、三分の一です。が、今回のドラマが及第点に届くかどうか、ここからが勝負です。吉高さんも柄本さんも他出ている俳優さんたちはみんな素晴らしいし、衣装などなども素敵なので、物語が駄で終わってほしくありません。頑張りましょう(?)。いや、ここで気を取り直していくぞ。
その他
・乙丸のいちゃシーンはなぜ?
・公任のゴネ得がらみが全部コント。
・予告でみんなが戦慄した倫子さまの「なぜまひろさんをご存知?」があっけなく通過。
・やっとまひろの裳唐衣の女房装束が定着するか?個人的には黄色より赤いのが良かった。でもやっぱり最終的に紫で定着してもらいたいな。
・一条帝「(其方が)中宮中宮と申すのは疲れる」←どの口が!
・火事のシーン、長袴と帝独特の長〜い上着で走る塩野さん、すごい。
・仕事にいく上での唯一の心配事ぐらいの勢いで「賢子のことが……」←だったら普段からもうちょっとママしてあげたらいいじゃない。
・まひろを出迎える女房たちの顔が怖すぎ。そんなに女房としての自分に自信がないのかしらん。
・「お前が女でよかった」シーンは「大袈裟だなぁ」が身に染みる。紫式部日記を後世読んだ人がとりかえばや物語を書いたのかな。
今日もお付き合いいただき、ありがとうございました。