大河ドラマ「光る君へ」第三十三話「式部誕生」所感
意外と普通の職場
前回、ネットの皆さまを恐怖に陥れた勤め先、藤壺ですが、ただのお嬢様の集まり+もうママンにしか見えない赤染衛門さま。
そして、史実で言われているように、モノの言い方を知らないまひろは高貴な姫たちから反感を買います。まぁ、いじめが横行するほど鋭くはない姫たち、という設定。みんながリラックスしきっているので、緊張しきっているまひろが浮いちゃう。それにしても、まひろビビり過ぎ。
ってか、ちょっと待て。女房たちは中宮さま級のお嬢様ばかりという設定かも知らんが、そんな本物のお嬢様は女房になるんか?貴族の嫁か、女御にでもなっている気がしますが。
とりあえず、対して根は深くなさそうなただの女子校に見えました(笑)。女子校ではなく女子大の出身ですが、ちょっと懐かしい。赤染衛門が平気な顔をしているのはなんだか理解できる。慣れてしまえば、さして怖い職場じゃないでしょう。寝相が悪かったり、いびきや寝言があったり、ギャグシーンまで。これ、男性の脚本家は許されない描写ですよね。
ただ、支えられる彰子中宮さまには、窮屈で寂しい場所でしかないのでしょうね。
他人への理解?
が、ない。というのが今回のテーマに見えました。まぁまず、まひろは女房たちのこと、自分もたま女房になったということが分かっていない。女房たちは、まひろどころか彰子中宮さまの気持ちさえ理解しようとしない。赤染衛門はもう諦めた感がありますが。斉信も公任も、本当に女房たちを理解しようとなどしていない。道長もまひろの疎ましさを理解できず、まひろも道長の窮状を理解できない。局でだって、すだれも下ろさず局の対策も取らずに気が散るって……。天皇もただ道長に対抗したいだけの人事、諭されないと気づかない。こんなものでしょうか。みんな自分のことばっかり。
藤式部が、やっと彰子中宮さまの気持ちを察したところで、物語が終わる感じですね。
彰子中宮さま
ちょっと人になってきました(失礼)。親王さまにだけ見せた笑顔、大変可愛らしく。まぁあんな感じだと、親王さまの心は掴めるわね。
藤式部にだけ、急に本音を語り始めました。まぁこれは、主人公補正でしょう。でも、ちょっと期待したのかもしれません。今までとは違う人、ひょっとしたら、自分の何かをわかってくれるかも。ですから、一度下がると挨拶に行った時の、ちょっとがっかりしたように目を伏せる場面が印象的でした。藤式部が戻ってきてよかったね。物語も読ませてもらえることになったし。
道長、ピーンチッ!
政治の頂点に立っているはずの道長ですが、娘に皇子がいないせいか、思うままにならないことが多くなってきました。伊周ムフムフ。実資は評価してくれましたが、表立って味方にはなってくれなさそう。
源氏物語が大流行して、藤壺でなら続きが読めて、皇子が生まれて初めて、道長の権力が揺るがないものになっていくのですね、ふむふむ。
急に、興福寺!
怖い怖い。ここまで一切触れられてこなかった興福寺が一気に攻め寄せてくるって。しかも、江戸時代ぐらいまで、お坊さんって結構アグレッシブで兵にもなっちゃうらしい。仏の穏やかさはどこへ?
道長もなんだか強気です。どうした?そもそも興福寺と揉めてるのはなんで?これは、いつもの歴史解説Youtuberさんの解説動画待ちです。怖い怖い。
実家へ帰宅
史実にあるので、このシーン作ったのでしょうが、史実のように「仲間と馴染めず」という設定にしなかった、また職場復帰の過程も違う。またも歴史改変ですが、もうどうでもいいレベルです。そもそも、帝が先に読んだのではなく、世の女たちが先に読んだ物語。
ちょっとホッとして、落ち着いて書けるようになるのか……。この後、宮中に戻ったまひろが、なぜ藤壺の局で書けるようになったのか、それは謎。
その他
・まひろ、公任たちの言葉を今更返す。ちょっと前まで公任の家に行っていたのに、今になって。根に持ちすぎ。
・小少将の君だけ、ちょっとまひろに憧れ?
・夜のシーン、一人出て行った!誰?足揉みに行ったの!
・里帰りさせて欲しいと言うシーン、道長が子どものような言い方。
・一巻の文字数はどんなに多くても数千字。意外と少ない。
・やっぱり言うこと聞いてくれないじゃんまひろby道長
・「そこは寒うございます」ひだまりの方があったかい気がする。
・まひろが実家で源氏物語を読むシーン。高校の口語訳みたい。主語を補填しないから、訳わからんになる。
・歴史改変せずとも今回の面白さはあった。むしろないほうが良かったのに。隙間埋めの創作と改変とではやはり違う。
・みんなが期待した(こら)女のドロドロが意外とあっさりだった。
・今どこまで出来上がっているのか、ちゃんと提示してほしい。とりあえず、一時帰宅する前に、桐壺の巻はできている?
・あの扇は「褒美」というより「お詫び」では。描かされた絵師は謎だろうな。なんじゃこりゃって。まぁ「鳥籠に閉じ込めて書かせようとした自分が間違っていた。物語を自由に描いてこその其方だ」とでも言わんばかりです。
今回もお付き合いいただき、ありがとうございました。