朝、無遠慮に日が昇る まだ私は準備ができていないのに 嫌々起こされる 昨日の夜 彼氏に向かって酷いことを言ってしまったり よく眠れなくてしんどいのに 太陽は私の準備を待たないからウザい 今朝はもう何もかもが駄目で 死にたくなる トイレに行きたくてもお母さんが ずっとこもって出てこないし 食欲も無いし 顔を洗ったり歯を磨いたりも出来なくて 寝癖でぼさぼさの頭のまま 布団の中に入り直す カーテン締め切ってても 自己主張してくる太陽がウザい
今、脚の長い巨人が東京スカイツリーを跨いで去った 一方私は短い足で近所のコンビニまで行った 今、スーパーカーが世界一の速さでコーナーを駆けていった 一方私は50メートル走ることが大変だった 今、ロケットが火星に向かって空を飛んで行った 一方、私はジャンプして20センチ浮き上がるのが精一杯 今、天使が奇跡の力で人々の病を救っている 一方、私は処方された薬を飲むことだけはできた しかし、巨人は家屋を踏み倒し壊す しかし、スーパーカーは母の手を引いて歩けない しかし、ロケッ
海辺の猫たちはいなくなったよ 優しいお金持ちのおじさんに拾われて 今は雨や風に曝されることなく 大きな家の中でおいしいご飯を食べて 仲間と一緒に仲良く暮らしている そうであって欲しいと願う 人が人を殺す世界で男と女が分裂する 子供が飢えに苦しみ死んでいく 大きな波を前にできることは 小さな自分を守るために目と耳を塞ぐだけ 海辺の猫たちはいなくなったよ 保健所の人たちがやって来て みんなを無理やり捕まえると 狭い籠の中のに閉じ込めて 仲間も一緒にガス室で殺処分した 海辺の猫たち
私はあまり物事を深く考えられない方なので、毎日おいしいものが食べられて好きな服が着れてお風呂に入れてたくさん眠れればそれでいっかなーと思っている。趣味で音楽をなんとなく聴いたりメイクを楽しんだりもできたら良いな。その為には働いたり家事をしたりもするんだけどそのときも大抵はぼーっとしてて、特に考えると言うことをしない。もうこれが楽だし、長年やってることだから変えられないと思う。でもこの世には権利や義務と言った(私にとって)難しい言葉があって、それを守ったり変えたりして私のような
そして一年が過ぎた。 あれほど駆け回ってきた小路で君はもうはしゃいだりしない。 青ざめた、光を失った顔。 大人になるより先に老人のような表情を浮かべている。 しかしそれは穏やかだった。 きいきいとロッキングチェアに腰掛けて湖を眺めているかのような瞳。 風が吹くと黄色い銀杏の葉が駆ける。 でも、もう君は必要外に走ったりしないんだろ? そう決めてしまったのだから。 目を閉じる。 十数回の夏の終わりが心臓を引っ掻く。 記憶の中の君はコテージから見える湖まで仔犬のように飛び跳ねていた
※この作品には暴力、暴言等の表現が含まれます。 そのとき、僕は見たのです。隣の部屋のベランダから飛び立つ天使を。飛び降りなんかじゃないのです。羽のはえた天使が爪先を手すりから離したとき、ちゃんと空に向かって、昇っていったのです。天使は、神様が作っただろうなってわかるぴかぴかの姿をしていたのです。粗末なTシャツと半ズボンを着ていても、綺麗だってわかるくらいぴかぴかしていたのです。 僕がそう話し終えると、固い拳が飛んできたのです。昨日できた痣の上に重なって、拳は僕を殴るので
ツイッターにあげていた、ほよたちの漫画のまとめです。まとめきれていないものもあります。順番もばらばらです。
わたしは わすれられている ちいさなころ まいにち わるぐちをいわれた 「ふくの いろが きらい!」 「へんな しゃべりかた。」 ナイフで さされたみたいに うごけなくなった けど みんな わたしをわすれている ちゅうくらいのころ まいにち いじめられた 「おい うんこ!」 「まじで きもい。」 「ナルシスト。」 ひとが こわくなって そとに でられなくなった けど みんな わたしをわすれている おおきくなってからも かわらなかった 「はだ だけは まともだな! はだ
どうしてもファミチキが食べたかったけど こごえたつま先は、歩くと割れてしまうから 今日も塔の上にいた ラプンツェルってはなしを知っている? たいように向かって話しかける にっこり笑った顔をして見上げてきた小さなたいようは、穏やかに、あたたかな光を発して 「まだ知らないよ。」 と不思議そうにしている にんげんが一番怖い あいつらが持っている見えないナイフは 基本的には護身用なのだけれど たまにバーサーカーにんげんが無秩序に振り回す 乱暴なやつは刺さると痛いし傷も治りにくい たい
よく晴れた土曜日の朝は、なんと気持ちが良いのでしょう。マーテおばさんは温かい紅茶を水筒に入れると、お家から出て五回か六回曲がった場所にある公園まで出かけました。 公園の木の上にはムクドリたちが集まってぴいぴい鳴いています。丁度、今は秋の終わり頃。木の実がたくさんなった枝にムクドリたちは夢中です。 マーテおばさんは、白黒の猫が横切ったので嬉しくなって目で追いかけていました。だって猫は可愛いのですから。マーテおばさんは猫を撫でたくて屈んでみましたが、もうそこには白黒毛皮の姿
ニュースです。 今日の午前10時、お山の真ん中公園にどんぐり強盗が出ました。 どんぐり強盗は、凶器に真っ赤な枯葉を持ち 「金木犀の花をありったけ出せ!」 と公園に住む鳩や雀や猫やもぐらを脅迫したそうです。 脅された公園の住人は、恐怖のあまり金木犀の花を全てどんぐり強盗に渡してしまったそうです。 現場の犬さんに繋ぎます。 犬さん、辺りの様子はどうですか? 「はい、こちら現場の犬です。公園の住人たちは秋だと言うのに金木犀の香りがしない、とたいへん悲しんでおります。住人代表の鳩さん
アストルムは空に浮かぶ小さな小さな光のつぶ。 あまりにも小さな子供のようなつぶ。 夜ごと空に浮かんでは、ちらちらとまたたき銀色の透明な涙をこぼしていた。 アストルムには心を渡した相手がいた。 それは空に浮かぶ大きな大きなルーナと言う名の光だった。 ルーナは美しく、白く輝いていた。 アストルムはルーナのことを想うといつも泣いてしまう。 その理由は物知りのソルに聞いても、わからないと言う。 ソルはアストルムに問うた。 「アストルムよ、どうしてお前はルーナに心を渡してしまったのだ。
ベッドの下にいる誰かに向かって毎晩「おやすみ」と言うために心臓の反対へデッドスペースを作っておく。
気流に引き伸ばされた飛行機雲の境界線 その向こうのオリオン座の小さな光 夜通し歌い続けた虫たちを ようやく眠りつける朝が昇る 言葉を前にして言葉を持てない僕が 語れるのは目や口や体の僅かなリズムで それでも伝わりきらないものばかりだから 夜明け以前の空を吸い込む 一気に飲んだ牛乳が呼吸する度 ちゃぽちゃぽ揺れて星と混じる 空を吸い込み、吐き出しを繰り返すと 夜が胃の中で重たく消化された 朝焼けがベランダの向こうまで迫っていた 白み始めた月を残して オリオン座たちは次の夜まで帰
深海の揺らぎになびいて眠る 厚い海藻のカーテンに仕切られた海の底では 光が届かない国の住人がいる 色は無い、形は無い、言葉も無い 黒潮に結び付けられたそれぞれが 互いを干渉するわけも無く ただ、音楽が流れるのを聴いている たまにそこへ真っ白な灰が降り積もるとき それぞれが祈りの為に海面を見あげようとするが それぞれは目が無いのを思い出して それぞれに嘆く しかし言葉も無いので悲しみは声にならず 何も無かったかのように海流が続く 七キロの早さで四散していった灰は 生まれ変わって
ぶりきを叩く音がする 丁度、人に殴られた時と 同じくらいの軽いメロディー 星が散り散り、目が回って 最近は呼吸さえ難しくなった いつの間にかはね回ってるの ぶりきの中、止まらない早さで 勢いづいたスーパーボール あたると痛いけど自分で投げたの 誰かにとって意味の無いおもちゃでも 私にとっては銀河系を煮つめた宝石だ 光にかざすと星が死んで そのきらきらがすごく好きなの 空中で息継ぎをする 景色が意味の無い情報に変わる ノックダウンした重たい脂肪を スーパーボールがぐちゃぐちゃに