推しの日は過ぎ去った、キングオブコント師の話
好きになるきっかけはたいていテレビだった
それくらいしか、エンタメの人たちを知れる機会はない
テレビに出るか出ないか、芸人さんにとっては大きな出来事な時代だった
今でこそYouTubeやラジオの配信を自らの手で行い、見つけてもらう術はある
テレビと芸人さんをつなぐ人の力がいらない時代になった
M-1グランプリがたまらなく好きだ
歴代のネタは詳しくは言えないけど、あの番組を見るだけで胸がドキドキして、笑う涙と芸人さんのM-1グランプリにかける熱い思いに気圧され流す涙で、うっすら涙を浮かべながら見ている
その番組きっかけでとある漫才師が好きになり、劇場に足を運ぶようになった
今回はその漫才師ではない別のお話
初めて行く劇場はどんな客層かも想像がつかず、そして周りの友人に一緒に行こうとも言えず、一人で乗り込りこみ、びっくりするほど緊張していた
その日は10組くらいの芸人さんが出ているいわゆる寄席
寄席とライブの違いはよくわかんないけど、お目当ての芸人さんのほかに知らない芸人さんが出る
テレビには出ないような芸人さん
知らない芸人さんで初見のおもしろさはなかなか難しい
だってはじめましての自己紹介がネタなんだから
コンビ名とネタが合わないと腑に落ちない時もある
無意識のうちに結構コンビ名って気にしているのだ
オープニングが終わり、数組ネタしたあと
大きなスクリーンに
「男性ブランコ」と出た
タイトル?コンビ名?謎の名前と共に表示は消え、明転してベンチに座る地味な二人組がいた
地味って基準は人それぞれなんだけど、芸人さんの裾野の広さを知らなかった私にとって「芸人っぽくない芸人」だった
見た目で
そして
「そんなに面白くないんでしょ?」と食って掛かった態度で二人のベンチでのやり取りを見るだけ
4分もたてば終わるだけ
と思っていた
二人が繰り出すコントの終盤にいきなり引き込まれて、胸がじわーってしながら、終わる頃には涙を流していた
そして隣の人のすすり泣きも聞こえた
たった4分
されど4分
あの時
劇場に私は緊張して一人でいたけど
「男性ブランコのあのコント、めちゃくちゃ良かったよね」って知らない人にも話しかけたい気分だった
見た人にしか分からない、あの感じを共有したかった
そこから男性ブランコの単独があれば見に行って、単独以外はそんなにライブもなかったけど、昨年あたりから男性ブランコを打ち出すライブが増えている
ふふふ
2020年の単独ライブは5本
すべて新ネタである
単独一本やるにもすごいエネルギーなのに!
それを毎回違ったテイストで見せてくれる
彼らはライブが終わったあと、カーテンコール的な感じで出てくれるけど、照れた感じで口数少なく去っていく姿がまた芸人っぽくない
そんな男性ブランコが2021年ついにキングオブコントの決勝に進むことになった!
いつかあの時見たコントを全国テレビで放映されたら…!
なんて思ってたから、めちゃくちゃ嬉しかった
心の中の応援はもちろんだけど、お笑いを広める使命感はあるので、キングオブコント当日に古くからの友人たちにささやかな感じで伝えた
「やほ
今日はキングオブコントです
もし見られるなら私の好きな芸人さんは
男性ブランコ
ってことだけ、伝えておきますね!」
もちろん友人たちは初見
ちょっと伝えるだけでも見方はかわるだろう
ほとんどテレビでネタをやっていなかった男性ブランコはめちゃくちゃらしさを出し、最終決戦まで進んだ
優勝まではいかなかったけど、初出場であのセンセーショナル
その後ルミネの出番や大阪の劇場での出番も増え、たくさんの人に知ってもらえたんだなぁと思う
テレビきっかけではない、唯一劇場ネタから好きになった芸人さん
好きになったきっかけがこんな鮮明な人たちはなかなかいない
このコント見て、一緒に語りたいなぁ
サムネイル左
浦井のりひろさん
眠りにつかせるのが天下一品
浦井さんが羊数えるYouTube、探して欲しい
サムネイル右
平井まさあきさん
noteやってます
一時期やってた「あつまれどうぶつの森」の実況はおもしろすぎた
そんな彼らが単独やります
キングオブコントが終わってから、連絡をくれた友人がいた
男性ブランコを見て、私を思い出したとのこと
誰かの記憶に私と男性ブランコがセットになっているのは、うれしい限り
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